二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.228 )
日時: 2011/02/05 22:29
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: PdKBVByY)

「まった」
 しかし、その後(オムイたちが去ってから)セリアスが言う。
まさに箱舟へ向かおうとしていたマルヴィナとキルガは足を止めた。
「何?」
「・・・運転士。箱舟の」
「あ」
 サンディである。
 彼女(?)は、天使界についたいなや『テンチョー探し』と称してどこかへ行ってしまったのである。
 テンチョー = 天の箱舟の真の運転士 であることにはしばらくしてから気付いた。
「・・・・・・・・・。とりあえず、行ってみない? 何か案が見つかるかもしんないし」
「・・・期待はしないでおく」
 その答えにマルヴィナはあいまいに答えつつ、トコトコ歩くこととなる。
「あいつワケわかんない時にいて肝心な時にいないんだからなぁ」
 いつもフードから後ろ髪をひかれる(別に未練が残って云々の意味ではない)マルヴィナは
皮肉も込めてそう言ったが、扉を開けた後のそこにサンディ張本人がいるのだからたまらない。
「うわぁぁっ」
 当然、マルヴィナは盛大に驚いた。
思わず身を引いて、セリアスに背中がドン、と当たった(ちなみに小揺るぎもされなかった)。
「うはっ!? な、何ヨ。アタシが何!?」
 いきなり驚かれたサンディは、原因も知らずそう答える。
「なな、な何でいんのっ!? アンタ『テンチョーサガシ』してたんだろっ!?」テンチョー云々が棒読みである。
 言われたサンディはその場で腕と足を組み、ぷぅ、とむくれる。
「しゃーないじゃん。あのオッサンいないんだし。なーんか人間界で行方不明っぽいのよねー。
でもテンチョー探さないとバイト代もらえないしさー。・・・正直探すの超メンドいんですケド」
 三人は顔を見合わせる。人間界?

「てゆーか何でアンタ達こそここにいんの? ハネもワッカもないから天使界追い出された?」
「アホか! 人間界に散らばった女神の果実を集めることになったんだよ。ちゅーワケで人間界連れててて・・・」
 マルヴィナとキルガが語尾に妙なものの入り混じったセリアスの言葉に反応し、彼を見る。
「かんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 シラけた空気が漂い、だがサンディがすぐに打ち破る。
「まっ、アンタらが人間界行くんなら、協力してあげてもいーよ。・・・でも、箱舟ちゃんまだ壊れてるっぽいのよねー。
ちゃんと人間界に停められるのかあやしーんですケド」
「無責任な」
 セリアスが呟き、
「・・・サンディ、青い木、見える?」
 マルヴィナが話を進めた。
「青い木? ——あー、うん、あるケド」
「そこに停められるはずだ」
「は? つか何で知ってんの?」
 マルヴィナはそのままの表情で答える。
「いや、何かさっき不思議な声が聞こえてさ。そこに行けって」
「マルヴィナ?」キルガだ。「・・・確かにあの声は、青い木が僕らをいざなうとは言ったけれど、
箱舟を停められるとまでは・・・言ってないよ」
「・・・え? でも、・・・停められるはず・・・」
 珍しく弱気な、だが少々にじむ確信の声に、キルガは首をかしげる。
「あー、グダグダメンドい! ちょいまち。調べてやんから」
「調べられるのかよ」
 だったら最初にそうしろよ、・・・とまではセリアスは言わなかった。


 箱舟が出発する。
 青い木に、確かに停められるということが分かってから——