二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.229 )
日時: 2011/02/05 22:30
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: PdKBVByY)

        2.



「大神官様は、まだお戻りにならないのか!?」
 世界地図で、大体は中心に描かれる、この小さな島——アユルダーマ島。
 転職を司る神ダーマの眠る地として、そこにはその転職の儀式が行われる神殿があった。
 その神殿に名はなかった。だが、人々はこう呼ぶ。
 ダーマ神殿、と。

「最後に見たのは、やはりお前のようだな」
 ダーマ神殿、フリーフロアと呼ばれる一室でメイドの仕事を務める娘に、武闘家風の男が言った。
「うん。そう・・・みたい」
 二人は恋人同士の仲である。彼は最後に大神官と会った、という彼女が疑われないか、大いに心配していた。

 ——疑い。

 そんなものを抱かれなければならない理由。
 それは、ダーマ大神官の失踪にあった。
 わざわざ遠くから転職しに来た者たちはなかなか目的を果たせないことに苛立ちを覚えていた。
それはより一層、神殿に勤める兵士たちの焦りを増幅させた。
そのため、事前に大神官に会っていた者は、ほぼ八つ当たりの対象として、
拷問のような勢いで責められたものである。
「・・・どうしよう。やっぱり、あたしのせいなのかな・・・」
「心配すんなよ、直、戻って・・・来るさ」
 彼の言葉も、かすかに不安がにじみ出ていた。





 マルヴィナ、キルガ、セリアスは地上へ着く。だが。
「っあ゛ー、よーやく着いたぁ・・・運転雑になってないか・・・?」
「うー、同感だ。少し気分悪いぞ」
 ・・・マルヴィナとセリアスは水を失った魚、
あるいは太陽を浴びすぎたモグラのような雰囲気を漂わせる表情をしていた(早い話が疲れすぎた顔)。
 ちなみに、一人平気なキルガが、あまり心配していなさそうな口調でとりあえず尋ねる。
「大丈夫かい? ・・・気付け薬、あるけど」
「いらんわ」
 薬も冗談も、・・・とまで言う気力は残っていなかった。
「ま、大丈夫ならいいか(ほとんど容体を無視している)・・・
ところでマルヴィナ、あそこに見える建物。覚えておいてくれないか。後で 転移呪文_ルーラ_ で来れるように」
「建物? ・・・あぁ、あれね。分かった」
 ふらついた頭を手を使ってまっすぐに立て、マルヴィナはじぃぃぃぃっと
ネズミを睨む猫のような目つきでその建物を見る。・・・真剣にものを覚えるときの彼女の癖らしい。というか恐い。
「後で? 今行きゃいーじゃん」
 サンディは自分の運転が悪評価だったことの不満も込めてつっけんどんに言ったが、
「シェナに会いに行きたいだろうって思ってね。覚えておきさえすれば、いつでも来れるわけだし」
 キルガの余裕の口調に、あそ、と次いで微妙な声を出したのであった。