二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.40 )
日時: 2010/11/16 17:39
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: 7H/tVqhn)

リッカ・ロリアムには両親がいない。
母親は病弱で、リッカが幼いときに他界している。
また父親も、二年前にどこかから拾ってきた流行病で急死した。
その父親は、宿屋の主であった。小さな宿ながら、最高のもてなしをする、
世界宿屋協会からは抜き打ちで検査されても文句なしパーフェクト五つ星を勝ち取っていた。
そう、今現在リッカが宿屋の若女主人を勤めているのは、父親の受け継ぎ。
だが、例の“大地震”で東側にある大国と村をつなぐ通り道—人は“峠の道”と呼ぶ—が
土砂崩れでふさがり、客は来ない。宿屋の仕事は、無しになってしまったのである。
・・・そのためか、

「マぁールぅーヴぃーナぁー! ご飯、でっきたよー!」

マルヴィナを家に泊めるばかりでなく、いろいろ世話を焼いてくれるのであった。
マルヴィナが来るなり振り返ったリッカは、
「はぁい、はいはい。マルヴィナ、これちょっとテーブルに」
とか言い、大皿二つをいきなりドンと渡す。
重くはなかったが、不意打ちかましてくれるものだから、バランスをやや崩した。
フラフラしながら、食卓に二皿追加。リッカの祖父ファベルトの目が点になる。
食事しながら、リッカは今日のニードに対して憤慨していた。
「何っなのよニードったら! 
怪我して、体調よくないマルヴィナいきなり突き飛ばしたり殴ったりしてさ!」
どちらも未遂ではあるが。
「でもさすがマルヴィナ。旅人。反撃格好良かったわ! 
・・・それにしても、マルヴィナまだ若いのにさ。どうして旅なんか」
マルヴィナは、旅人を装っている。
ちなみに、年は人間界で言うと、これでも十九歳である。
背丈からすれば十五、六に間違われるだろう。
とりあえず“若い旅人”は答えた。
「・・・故郷から出てしまった、いや、出された、かな?
 追い出されたんじゃなくて・・・“出されて出てしまった”っつうか・・・」
間違ってはいないのだが、説明しづらい。迷い、迷って、ようやく言えたのはそれである。
そんなマルヴィナにリッカは、
「そっかあ・・・苦労したんだね、マルヴィナ」
そう、しみじみ言うのだった。