二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.558 )
日時: 2012/08/24 21:22
名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: bkovp2sD)

 二人が持ってきたのは、ずいぶん古びた辞書のようなものである。
表紙は殆ど文字がかすれて読めないが、昔はさぞ立派な本だったのだろう。
「俺は学がないんでな。こういうもんは読まねぇんだが、俺のご先祖様が鍛冶屋たるもの
この程度の知識は身に着けとけって残してってくれた代々伝わる武器のための本だ」
「んー・・・もしかしてこれかしら? えと・・・げん・・・じゃない・・・ぎん・・・? ぎん、が・・・あった、これよこれ!」
 子供のようにはしゃぎながら、女性店員は三人に見えるように広げて床に置いた。瞬時に、三人が頭を寄せ合う。
 決して人の手ではどうすることもできないもの——いわゆる“神器”と言う名のあるものが、書き綴られていた。
銀河の剣はどのようにしてできたのか、いつからあるのか。そして、いつその力が失われたのか——
そのようなことが書いてある、と思う、と彼女は言った。
「むぅーん。もう殆ど読めないなぁ・・・あ、これだっ、呪文・・・呪文だって!」
「「呪文?」」マルヴィナとスガーの高さの違う声が重なる。
「うーん・・・封印、されてて、で、それを起こす・・・とかなんとかで、・・・ちゃんと呼んであげなきゃで・・・
剣は生き物か!! って突っ込みたくなるわね」
「少なくともこいつは生きもんだろうよ」と、スガー。「魔法ってのは全部生きもんだろ」
「・・・そうかなぁ・・・」
「とにかく、えーっと・・・読むわよ・・・」







『目覚めよ』







「目覚めよ・・・?」







『目覚めよ、この剣に』







「剣に——」







『汝と共にある者のもとへ戻れ、—————————』













 そこで女性店員は、「むー!?」と明らかに不満を表す唸り声を上げた。
「な・・・」マルヴィナも、思わず声を上げた。
「どうした」と、スガー。
「何かあったんですか」と、男性店員。
 マルヴィナは本に顔を近づけ、頁をめくって透かし・・・悔しげに、口を開いた。
「そのあとの言葉が、分からない」
「わからんだぁ!?」スガー。
「ちょうどここが、見えないのよ! 一番肝心なのに!」
「まって、もう一回見せて!」マルヴィナはもう一度試みるが、やはり駄目だ。
「ダメだ・・・空に関係する名前が入ることしか、分からない。・・・くっ、せっかくここまで来たのに・・・!」
「焦っちゃだめです」男性店員。「きっと、いつか見つかるはずです。マルヴィナさん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 そうか、とすぐに答えられることではなかった。マルヴィナは唇を噛み俯く。だが、結局、はぁ、とため息をついた。
そして、世話になった三人に、丁重にお礼を言って、窓の外を見る。
紅石の刻まで、あと少しだった。





















         漆千音))1095文字しかねぇ!! 最近1700字は書いていたからなんか変な感じがする・・・