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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 平助’sエピソード ( No.13 )
- 日時: 2010/09/04 18:00
- 名前: 桜架 (ID: q9W3Aa/j)
エピソード参『伝えられない・伝えたい』
〜平助side〜
あれ?あそこにいるの、・・・千鶴じゃねぇか?
巡察から戻ってきたとき、縁側でボーッとしている千鶴を見つけた。
「千鶴っ!」
「平助君っ」
俺に気付くと彼女はふわりと優しい笑顔を見せた。
それに思わずドキッとしてしまう俺。
ヤバイヤバイ、平常心だ・・・・。
「どうしたんだ?こんなとこで」
「・・・ひなたぼっこ?」
言いながら笑う千鶴の笑顔にふと違和感が感じられた。
俺に向かって笑いかけてるはずなのに、どこか遠くに視線を向けている気がする。
「平助君は巡察の帰り?お疲れ様」
「あ、あぁ・・」
やっぱ変だ。今の笑顔に明るさが感じられない。
むしろ笑顔に影が射していて、・・・・どこか悲しそうだ。
「・・・・・千鶴」
「何?平助君」
前髪をそっと手で押しとめ、俺を見上げてくる千鶴。
やはりその笑顔は寂しそうだ。
思わず抱きしめたくなる。
けど、それができなくて、そっと千鶴の手を握った。
ゴメンな、千鶴。俺、こんぐらいのことしかできねぇや。
俺たちは別に付き合ってるわけではない。
単に俺が片思いしているだけだ。
けど、今は大変なご時世・・・・。気持ちを伝えるわけにはいかない。
どうしようもないんだ・・・・——
「なんかあったのか?俺でよかったらなんでも聞くぞ」
「・・・・・平助君」
一瞬千鶴の瞳が潤む。
そして、彼女は先ほどの悲しい笑顔ではなく、
今度はさっきよりも、優しく・・・優しく微笑んだ。
「ありがとう、平助君」
と、俺に囁きながら。
伝えたくても、伝えられない。
けど、いつかきっと伝えたい。
“大好き”だって伝えたい
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