二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 平助’sエピソード 〜薄桜鬼〜 ( No.22 )
日時: 2010/09/09 16:40
名前: 桜架 (ID: q9W3Aa/j)

エピソード参『伝えられない・伝えたい』



〜千鶴side〜





頬に涙を伝いながら、わたしはただ平助君の小さな背中を見つめることしか出来なかった。
最後に見た表情かおは、 傷ついたような、裏切られたような・・・・
泣きそうな顔をしていた。


それを見て、胸の奥がズキンと痛んだ。
思わず声が出なかった。


——約束・・・・、俺だけか。・・・覚えてたの


平助君。違うの。
ちゃんと覚えてたよ?
というより、私だけが覚えてるかと思ってた。
だけど、ちゃんと覚えてくれてたんだね。


ごめんね?
覚えててくれてたのに、・・・・私も覚えてたのに・・・
約束破っちゃって。




以前した約束。

——いつか、女の格好をする日が来たら、
・・・・平助君にだけ見せること———


そう約束したとき、
平助君はすごく嬉しそうに笑ってくれた。

・・・・なのに、私は・・・——



だけど、今頃反省したって・・・後悔したって遅いよね。


ごめんね・・・、 ごめんね。
尽きることのない後悔が、雫となって頬を伝う。


「千鶴・・・。すまねぇな。
女の姿をみせて・・・元気付けようとしたのが、 裏目に出ちまって」

「お気になさらないで下さい。
私が全部悪いんです。 ・・・・私が、全部」



目を伏せて、そう呟くけど段々語尾が小さくなっていった。
そんな私の頭を撫でて慰める原田さんは、本当にやさしい人だなと思った。


「お前のせいじゃねぇよ。平助が悪いんだ」

「平助君はわるく・・——」

「いや、平助が悪い。女を不安にさせるようなことをするからだ」

「・・・・・?」



俯いていた顔を上げて、首をかしげながら原田さんを見つめた。
どういう意味なんだろう?


原田さんは私の反応を見て、ただただ優しく微笑むだけだった。