二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 平助’sエピソード 〜薄桜鬼〜 ( No.26 )
日時: 2011/01/03 00:09
名前: 桜架 (ID: Jp7wPE2D)

エピソード参『伝えられない・伝えたい』



〜千鶴side〜




あの日から、私はお千ちゃんの家に居候していた。


『千鶴。 お前は一旦屯所から離れろ』
『え?』
『お互いに気持ちの整理をした方がいいだろ。
お前も、・・・平助も』
『でも、・・・・』
『土方さんには俺から言っておく。だから、心配すんな』
私は何も言えず、頷くだけだった。


数週間の間、屯所から離れて、昨日原田さんから連絡があった。
“島原に平助を行かせるから”と・・・・。
そこには“会いに行け”など、そのようなことは言われなかった。
きっと、“行くかは自分で決めろ”と言う意味なんだと思う。
原田さんの遠まわしな優しさ。


悩んだ結果、私は行くことに決めた。
———気持ちを伝えるために・・・・

そのあとはわからない。
もし、伝わらなかったとしても、聞きたいことはたくさんある。
私は覚悟を決めて、お千ちゃんに話すことにした。



——————————————————————



「そういうことだったんだね」

「うん。話せなくてごめんね?居候してる身だったのに」

「いーの!気にしないで!」


笑顔で受け止めるお千ちゃんがとても頼もしく見えた。
私も思わず頬が緩む。


「ところで、なんですれちがったの?」

「それは・・・・」


私はあの日のことを話した。
話終わると、お千ちゃんはくすくすとひとり笑っていた。
・・・・なんかおかしなことでも言ったかな?
私はお千ちゃんの反応に首を傾げる。


「千鶴ちゃん。それは・・・——」

「それは?」


お千ちゃんはそこまでいうと、しまったとばかりに口を手で押さえた。


「危ない危ない。これは、千鶴ちゃんが確かめなきゃ」


そういうとお千ちゃんは微笑む。



「でも、それって仕方ないことよね。
大丈夫よ。約束破ったわけじゃないじゃない」

「ううん・・・・」


私は静かに首を振った。
しかし、私が口を開く前にお千ちゃんが先に言葉を紡いだ。


「そんなことないわ。仕方のないこと。
出来事自体は偶然だし、片思いの時期はすれ違いもあるわ。
だから気にしなくていいのよ、千鶴ちゃん」


そういってギュッと私の手を握り、笑顔を私に向けた。


「今日会ってみれば、全部分かるわ。
だから・・・、元気出して?藤堂さんに気持ちを伝えるんでしょう?
なら、笑顔でいなくちゃ!」

「・・・・ありがとう、お千ちゃん」


お千ちゃんに出会えてよかったなと、今この時心から思った。
こんなに励ましてくれる人、他に居ないと思う。
そして、私のために色々と動いてくれたり、守ってくれたり、
・・・そんなことをしてくれるのは新撰組だけだと思う。

私は知らないうちに、いろんな人に支えられてきたんだ。





その夜、お千ちゃんに渡された綺麗な女の着物を着て、
私は平助君に会いに行った・・・———