二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 平助’sエピソード ( No.3 )
日時: 2010/08/31 09:19
名前: 桜架 (ID: q9W3Aa/j)

エピソード壱『それから・・・』



朝ごはんも食べ終え、ちょうど洗濯、掃除を終えたところ。
時間帯はお昼時になった。


「お昼作らなきゃ」


千鶴はお昼ご飯を作ってから平助を探しにいった。
家の中に平助はいない。
(もしかして、外でお昼寝してるのかな?)
千鶴はそう思って家を出た。


庭の所を見てもいない。
千鶴はしばらく辺りをキョロキョロ見渡してから
思い出したように足を進める。
(たぶん、またあそこにいるんじゃ・・・)


木々の間の木漏れ日の中、予想通り平助はそこでお昼寝をしていた。
千鶴は頬を緩めながらそっと・・平助の頭を膝の上に乗せる。
顔を見てみるととても幸せそう。


幸せな平助を見てると、この生活が永久に続けばいいと考えてしまう。
(永遠はないのに・・・・)
ひとりでに頬に涙が伝う。


「平助君、・・・・」


ずっと、一緒に暮らしていきたい・・・———
けれど、平助君の体は“羅刹”の力を長年使ってもうボロボロ。
近いうちに千鶴から離れてしまうかもしれない。


「・・・千鶴?泣いてんの?」


ふと、頬に平助の手が添えられる。
平助の顔を悲しげで、どこか切ない感じがした。


「平助君・・・」


平助は千鶴の考えてることを察したのか、ゆっくりと体を起こした。
そして千鶴に向き直り、強く抱きしめた。

「・・・へ、いすけ君」

「確かにさ、俺は近いうちにお前を置いていくかもしれない」


耳元で囁く言葉が切実に響く。
頬に伝う涙は止まらないまま・・・・。
平助は体を離して、千鶴の涙を指で掬い取る。


「俺はお前からたくさんのものを貰った」

「・・・・え?」


(私・・、なにか平助君にあげたっけ?)
首を傾げる千鶴に、優しく・・・優しく微笑む平助。


「俺はお前のそばにいるよ」


平助は手を千鶴の手に移動させて、強く握った。
まるで誓うように平助は呟く。


「陽が落ちても、月が昇っても」


ずっと、ずっと・・・・・・。


「いつか別れる日が来ても、
それでも俺はおまえの傍に居続けるから」

「・・・・本当?」


尋ねてくる千鶴に優しく微笑みながら、平助は頷く。


「ずっと、ずっと・・・・・」


二人は再び、強く抱きしめあった。