二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 平助’sエピソード 〜薄桜鬼〜 ( No.45 )
- 日時: 2010/09/14 17:23
- 名前: 桜架 (ID: q9W3Aa/j)
エピソード四『久しぶりの再開』
〜千鶴side〜
「ふう、・・・洗い物はコレで全部かな・・」
濡れた手を手ぬぐいで拭いて、乱れた髪を結いなおす。
「千鶴ちゃんっ」
「お千ちゃん。 ・・・どうかしたの?」
顔に笑みを浮かばせながら近寄るお千ちゃん。
・・・・・なにかいいことでもあったのかな?
「あのね。 千鶴ちゃんて、その・・・」
「うん。 なあに??」
お千ちゃんはそこまで言うと、ためらうように、一度言葉をきった。
・・・・本当にどうしたんだろう?
私は首をかしげた。
「藤堂さんと、今のままでいいの?」
「えっ・・・・・?」
いまのままでいい?
それってどういう意味なの?
私は意味が分からなくて、お千ちゃんを見つめる。
「祝言とか、挙げないの?」
その言葉で目が見開く。
考えていたといえば考えていた。
考えていなかったといえば考えていなかった。
ただ私は、・・・・———
「・・・・よくわからないかな。
いつかは挙げるのかな?とは思ってたけど・・・・」
「・・・・藤堂さんが傍にいてくれれば・・・、それだけでいいの?」
「・・・・えっ」
・・・・どうしてわかるの?!
心の声をお千ちゃんに読み取られて、顔を真っ赤に染めてしまう。
「二人とも考えてることは一緒なのね」
「・・・ふたり?」
クスっと笑うお千ちゃんの隣で、私はただ呆然としてるだけ。
ふたり??誰と誰??
「・・・・だからこそ、形にこだわらないのかもしれないね」
さっきまで笑っていたお千ちゃんが、ふと真剣な表情で私を見つめた。
「千鶴ちゃん。 私は、・・・二人が幸せならそれでいいの」
「お千ちゃん・・・・」
お千ちゃんは何処か遠くを見つめてから、視線を私に戻す。
その表情は、凛として、・・とても綺麗だった。
「私だってそうだよ。
・・・・お千ちゃんたちが幸せならそれでいい。
二人の幸せを祈ってるから・・——」
お千ちゃんが望むように、私もそう願う。
二人に、幸せになって欲しいから・・・・
「・・・・ありがとう」
お互いに微笑みながら、澄み渡る大きな空を見つめた。
すると、遠くから泣き声が聞こえた。
「いけないっ!とうとう風間が怒っちゃった!!」
「え? 風間さんが?」
どうしてそんなことがわかるの??
私の顔を見て、言いたいことがわかったのか、私に苦笑いを浮かべてから
「慣れだよ、千鶴ちゃん」
お千ちゃんの苦笑は、何処か幸せそうだった気がした。
お千ちゃんはそれだけ言って、風間さんのもとへ戻っていった。
「祝言か・・・・・」
挙げたところで私達の関係は変らないと思う。
ただ“好き同士”ではなく“夫婦”とういう言葉に変るだけ。
だけど、祝言を挙げるのもいいなと思った。
いつかは挙げること・・・と考えていたから。
けど、きっと私達の生活は長くは続かない。
だったら、今のうちに私達の関係を形に残して置きたい・・・・。
ただの“好き同士”ではなく、“夫婦”という関係で・・・・——
関係がどうのこうのじゃなくて、
ただ、形に残して置きたい・・———
平助君。
あなたはどう思っていますか?
私は、あなたが望むなら・・・———
平助君は、きっと・・・
私が望んでいるもの、・・・叶えてくれるんだと思う。
だったら私も、あなたの望むことを叶えてあげたい。
だって、私も望んでいるから————
平助君、“愛しています”