二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 平助’sエピソード 〜薄桜鬼〜 ( No.56 )
日時: 2010/09/29 17:36
名前: 桜架 (ID: q9W3Aa/j)

『それから・・・〜後日談〜』

⇒今度は原田さんsideストーリー☆
まあ、後日談じゃないっすけどね^^;
では、左之×千鶴をどうぞっ♪
(キャラ変ってたらサーセン)



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「永倉さん、元気そうでなによりでしたね」

「あいつは元気だけが取り柄だからな」



新八との久しぶりの再会のあと、二人肩を並べて帰路に着く。
今日の千鶴はとても嬉しそうだった。
それほど新八のことを気にかけていたのだろう。
本当に自分より相手のことを気遣う奴だ。

内心、も少し自分を気に掛けろと言いたい所だが、
きっとそこは千鶴にとって良い所だ。

まあ、悪いと思うときもあるがな・・・・・。
そこは気にしないことにするか。



「左之助さん?」

「あぁ、悪い。考え事してた」



千鶴の言葉で現実に引き戻される。



「・・・・左之助さん、最近考え事多くないですか?」

「そうか? 自分じゃ全然なんだが・・・・」

「いいえ、多いです!」


妙に頬を膨らませながら、上目遣いで俺を睨む。
俺は苦笑いをしながら首を横に振った。



「いや、平気だって。
別に千鶴が心配するようなこと、考えてねぇから」

「・・・・・・・」



俺がそういっても千鶴は黙り込んだまま。
そして口を開こうとして、再び口を閉ざす。
そのまま何か言いたげな瞳で俺を見据えてから、一人で歩き始める。



「おい、千鶴! 夜は危ねぇんだから、俺の傍から離れるな」



言いながら千鶴の手を握る。
けれど、千鶴は俺の手を握り返してくれなかった。
そのことに不安を覚えながらも、静かに足を進めてゆく。

しばらく、お互いになにも喋らないでいた。






家の前に着くと、千鶴は不意に繋いでいた手を離した。
さすがに不安を隠せられなくなり、千鶴の方を静かに見つめた。

千鶴は下を向いていて表情が見えない。




「・・・・・ちづ」

「頼りないですか?」



名前を呼ぼうとしたら、千鶴と言葉が重なってしまった。

千鶴の声は少し震えていて、か細い声だけどはっきりと聞こえる。



「頼りにならないですか?私・・・・」



もう一度、千鶴は同じようなことを呟いた。
そして、やっと顔を俺に向けた。
その顔は涙で濡れていて、月明かりで雫が綺麗に光っていた。



「ちづ・・」

「そうですよね。 ・・・・・でも、たまには頼って欲しいです。
私だって左之助さんの力になりたいです。
・・・・・左之助さんの不安を聞くだけでもできますから——」



その言葉で、俺の中で熱い何かが沸き起こった。
・・・・・なんなんだよ、お前は——



俺は千鶴の腕を引き、力強く抱きしめた。



「お前みてぇな良い女・・・・、他にいねえよ。
ほんと、かなわねぇな」

「さのすけ、・・さん」



濡れた瞳を見つめ、俺は優しく、・・・優しく微笑んだ。



「俺はお前がいねえとだめなんだ。
頼りないとか・・・そんなはずねぇよ。俺は・・・——
いつもお前に頼りっぱなしなんだからよ——」


「さのすけ・・・さ・・」



千鶴の言葉を待つ前に、俺はその口を塞いだ。













唇を離すと、


千鶴の艶やかな笑顔が俺を魅了した。





『俺は、一生お前を手放してやんねえから・・・・——覚悟しとけよ』



俺がそういうと、照れながらもゆっくりと頷いた千鶴。
・・・・・——愛してるよ、千鶴。