二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 平助’sエピソード 〜薄桜鬼〜 ( No.73 )
日時: 2010/10/16 13:58
名前: 桜架 (ID: q9W3Aa/j)

エピソード五『風邪と簪と』





「ただいまー」

「あ、おかえりなさい。何処行ってたの?」

「ち、千鶴!起きてて大丈夫なのか?!」

「うん、熱も下がったみたいだし・・・・」





千鶴はニコッと微笑みながら夕飯の支度をこなしてゆく。
オレはすぐさま千鶴の隣に立って、夕飯の手伝いをする。



最初は平助君?見たいな感じで凝視されてたけど、
あとから「ありがとう、平助君」と照れながら呟いてた。

つーかそんなことより、病み上がりなんだし、休んで欲しい・・・・。




「千鶴、夕飯はオレが作るから休んでていいよ」

「え?大丈夫だよ?」



・・・・・だからなにが大丈夫なんだよ。
病み上がりだから、無理しないでくれって意味なのに・・・。
まったく通じてねえしっ!?


オレは軽くため息を吐いて、仕方なく千鶴と夕飯を作った。







「やぱ、お前の作る飯、うめー!!!」

「ふふ、ありがとう平助君」




嬉しそうに微笑む千鶴が可愛くて、思わず見とれてしまう。
飯食いたいけど、それどころじゃねー・・・・
もう本当、不意打ちにそんな可愛い顔見せないでくれよ・・・・・///




「平助君??」

「あ、何でもねーよ!」



千鶴はキョトンとして、首を傾げていた。
だから、それも反則だって・・・!?







————————————————————————




「じゃあ、明かり消すね?」

「あぁ」





千鶴が火を消して、部屋がいっきに闇に染まった。
今日も幸せな日だった。



「平助君・・・・」

「ん?どーした?」

「・・・・・・・・一緒に寝ても、いいかな?」

「・・・・・?!////」

「・・・・・///・・やっぱり、なんでもない!!」





そういって背中を向ける千鶴を、後ろから抱きしめた。




「へ、すけ君・・・・?///」




ほんっと、可愛過ぎるんだって・・・!!
ちょうど千鶴の頭に顔を埋める。千鶴の優しい香が鼻をくすぐった。




「おやすみ、千鶴」

「・・・・おやすみなさい、平助君」





・・・・・しばらくして、千鶴から規則正しい寝息が聞こえた。
オレは起こさないように、懐から“あるもの”を出した。
それをそっと千鶴の傍に置いた。
















朝、それに気付いたとき、


笑った顔が見られればいいな・・・・————







そしてオレも、静かに瞳を閉じた。











『千鶴へ




いつもありがとな。





   ——大好きだ』







手紙の隣で、輝く月に照らされていた簪。

簪は、明日もっと色濃く映し出されるだろう・・・———














エピソード五『風邪と簪と』完