二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第2弾!!どうぶつの森ホヒンダ村だより —迷える子羊達— ( No.56 )
日時: 2011/01/28 17:33
名前: ショート ◆XjkrQ1YXPY (ID: yMcAY8PJ)
参照: 話の数がナチュラル魔法学校に追いついてしまった件←

20話[ *—ひみつ村パーティ 後編—* ]


ひみつ村のメンバーは、そそくさと何処かに消えてしまい、
パーティ会場からいなくなってしまった。

客をおいて、何処に行ったのかな…。


「さよりーん、あの4人何処行っちゃったの?」

「分かんない…」


あたしが答えた、その瞬間。

役場前に花火があがる。
そして、そこに、眩い光が放たれ、4人が姿を現す。


「なっ、何…!!?」


この村のオーナー兼パーティ主催者のゆうかが、マイクを手に持った状態であった。

何をする気だろう…。


『ひみつ村☆春のパーティへお越しの皆様こんばんは。

 この村のオーナー兼主催者のゆうかです!』


マイクを持ったゆうかが言う。

そのマイクをつばめが取り(ぶん取ったの間違いだ)、続きを言う。


『この使えないオーナー兼主催者は無視してください。

 そして、ご来場の皆様に心より感謝を申し上げます。

 このパーティのメインイベントは9時からとなっております。

 それまでは、ごゆっくりこのパーティをお楽しみください』


ブツッ、という音とともに放たれていた光と、4人の姿が消える。

そして、まるで瞬間移動したかのように、ゆうかが現れる。


「は、早いね…」

「うん、暇だから」

「他の…3人は?」

「他の客のとこ行ってるよ。

 私がさよりんたちのとこに来ただけ」

「ふうん」


素っ気無い返事をし、あたしは席を立つ。


「さ、さよりん、何処行くの?」

「ん、ちょっと、ね…」


3人にそう伝えて、あたしは皆が居ない場所へ歩いていった。

————そこは、海。

皆は、会場の役場前にいる。
だから、あたしは遠く離れた海に来た。


————一人で、考え事がしたかったから。

他所の村のパーティに来てするようなことじゃないのは分かってる。
それでも…、どうしても…ということがあった。


「戻れない…かぁ」


あたしは、たった一人で、誰も居ない海に向かって呟いた。

夜の暗い海は、あたしの放った言葉を飲み込んだように、波がひいていく。

————そう、前にシェルとジェーンが話していたこと。

ローマに戻れない…ということ。

今まで、夜ずっと考え続けてきた。
それでも、答えは、見つからなくて—————…

ずっと一緒に居たら、別れが辛くなる。

それは、当然シェルやジェーンだって同じはずだ。
それに、きっと2人だって戻りたいと思っているはずだ。


「…これ以上、辛い別れは嫌だよ————…、」


ただ、そう考えてただけなのに。

それだけなのに。

あたしの頬には、生暖かい雫が伝う。
その跡が、一筋のびていた。


「…っ、さよるんには、会えた…でも、でも…ッッ!!!」


さよるんは、役職を終えたら戻ってくることが決まりだから。
出会うことができるから。

だから、笑顔で送っていくことができた。

でも、どこからどうやって来たのか分からないんじゃ、
もう、来れなくなってしまうかもしれない—————————…。

そんなの、嫌だ。
離れたくない。分かれたくない、よ…


「あたしって、我儘…!」


自分で自分が嫌になる。

どうして、こんなに我儘なの?

どうして、こんなに欲張りなの?


どうして、どうして————————…


疑問に思えば思うだけ、目から熱いものが零れていった。


「さよりんっ!」


あたしの名前を呼んだのは、シェルだった。

あたしは零した涙を必死で拭い、隠す。


「大丈夫? 一人で何してたの?」

「…ううんっ、何でもないよ。 行こう!!」

「…? うん…」


その後、ひみつ村☆春のパーティを思い切り楽しみ、
パーティが終了して、村へ帰る途中…


「また、来てね。

 待ってるから!!!!」


バスの乗り込む直前、見送りに来たゆうかが叫ぶ。

その言葉に、自然と頬が緩み、笑顔になる。


「————勿論だよっ!」


バスが出発し、あたしたちはホヒンダ村へ帰った—————…


20話★終