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25話［　*—シェル…—*　］


「さーよーりーんー!!!!!!!」


家の外から聞こえる、あたしの名前を呼ぶ怒鳴り声。

声の主は、シェルだった。
何事だろう。


「どうしたの？」

「あのさー、今ね、電話かかってきた」

「電話家具は使用できるんだね」

「そーらしいよ。裏あわせだよ、きっと。

　でね、またひみつ村に来いと」

「命令形か。　どんだけだよ！」

「カ変だよ、カ変！」

「国語の授業ひっぱってくんな！」

「えっへっへー」

「そもそもおめーはイタリア人だろっ！」

「まぁ、気にしない！

　そういえば、ジェーンは？」

「あそこでさよるんに愚痴ってる」


あたしは、部屋の隅にいる2人のことを指差す。
2人は、何故か暗かった。

周りに暗雲が見えるのは気のせいだろうか…


「ジェーン！　お前ひみつ村来る？

　でも来ないと余計に出番減るけどどうする？」

「行く、行きます、行かせてください!!!!」


ジェーンは、約0.5秒で立ち上がる。
前回のことだろうね。

てか、出番で釣るなよ、シェル!!!


「よーし、しゅっ…」

「あ、待って!!!」


シェルが言葉を遮る。
何だか、出鼻を挫かれた気分だ。

ってか、何忘れ物したんだ…


「何ぃ〜？」

「持ち物確認だよ！」

「あ、そう…」


お前は何歳児だ。
持ち物確認を出発直前にするやつがあるか。

てか、持ち物って何だ。


「何持ってくのさ」

「え、色々」


あたしは、チラッ、とシェルの荷物を見てみる。
うわ、何あの大荷物！

あいつは夜逃げでもすんのか!!?


「えーっと、ハンカチ、ティッシュ、お金…」


遠足前日の最終荷物チェックみたいだな…
てかハンカチ、ティッシュ…？


「おやつは500円まで!!!!」


ズコッ、とあたしは倒れる。
おやつは500円までって何だよ！

あたしたちはひみつ村に遊びに行くんだよっ！


「お前は遠足に行くのか!!!」


あたしが言うと、何故かシェルは
『えっ…？　違うの？』という顔であたしを見てきた。

違うよ。


「うーん、分かった。　じゃあお金、パスポート、着替え…」

「旅行でもねぇよ!!!　海外旅行でも行く気か!!?」


また、シェルは『え、じゃあ…』

という感じで、荷物を入れ替える。
何分かける気だよ…


「よしっ、次こそ!!

　お金、ＤＳ、ランプ、ベッド、冷蔵庫…」

「あんた、引越しすんの!!?

　それとも夜逃げか!!?」

「今は夜じゃない!!!」

「お前、おいてくよ…？」

「わーっ、分かったよー!!」


大慌てで荷物を入れ替えてきた。
ったく、もう…

うわ、30分かかってるし！
ま、しょうがない…

怒られたら、シェルのせいって言えばいっか！


25話☆終