二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: bio hazard Episode ( No.2 )
日時: 2010/09/05 20:25
名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G. (ID: S8wpdLDK)

bio hazard【Episode1】Kasaya City broken



  1 発生


 関東の山に囲まれた街、傘谷(かさや)市。

 1つの製薬会社によって支えられている、この静かな街で惨事は起きた。


 2008年5月12日。

 裏路地を死者のような足取りで歩く男に青年は声を掛けた。

 しかし、上げられた顔は白目をむき、血の気の引いた肌に多量の血が付着しているという、恐ろしいものだった。

 そのまま青年は逃げる間もなく、男に首を食いちぎられた。

 他の場所でもその様な光景が広がっている。

 生きた人間を食らうそれはまさに“ゾンビ”といって良い存在だった。

 やがて警察車両が止まり、中から警官が出てきてニューナンブM60をドア越しに構える。

「良いか、自衛隊が来るまで持ちこたえろ! 弾を無駄にするんじゃないぞ!」

 その言葉と同時に警官隊はゾンビ達を撃ち始めた。

 しかし——

「おい、今確かに当てたよな!?」

「うわ、来るぞ!」

「来るな来るな来るなうわあああああああああ!!!!!」


 自衛隊が来る頃には既に警官隊は全滅していた。

 89式小銃を構え、警戒しながら自衛隊員達は生存者を探す。

「やけに静かだ……」

 近くに落ちていた空のリボルバーを拾い、眺めながらも自衛隊員の一人、村田 秋人(むらた あきと)は呟いた。

 その時だった。

 突然無線から悲鳴混じりの隊員の声が鳴り響いた。

『此方加村! ビル内を探索していたら突然ゾンビが…うわっ!!』

 通信が切れた直後、また別の無線が鳴った。

『此方松崎! 正体不明の怪物が…うおっ!』

 何かを引き裂く音と銃声が聞こえた後、通信は切れた。

『なっ…鰐かこれ!? デカすぎるぞ!!』

『此処は本当に下水道かぁぁぁぁぁ!!?』

 やがて、静かになる。

「…まさかな」

 秋人が呟いたとき。

 ビルの中からゾンビが出てきた。

「…ねーよ」


——数時間後、傘谷市に投入された自衛隊のほぼ全滅が確認された。