二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 爆想サザエさん ( No.104 )
日時: 2010/11/28 11:16
名前: ACT (ID: nrzyoCaD)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

19

 窓の向こうにいるイクラはタラオの思った通りのことをしていた。
 イクラは磯野家の飼い猫タマと一緒にいた。タマは今ではすっかり老いている。遠目から見たら仲良く戯れていると思うだろう。しかし今は違った。
 タラオは慎重に、自分の体があちらから見えないように隠れた。目だけを窓へ出す。驚きの光景があった。
 イクラはタマの足を持ち、足を抜こうとしているように反対方向へ引っ張った。タマは必死に声を上げるがタラオにも少ししか聞こえない。イクラはあざ笑うかのようにニヤニヤしている。
 それがタラオがイクラを嫌いなひとつだった。いや、恐怖か。
 ここらで起きている動物虐待事件は彼が起こしているとタラオは思っている。
 彼は次にタマの口を大きく開けさせた。かよわい猫は必死に振りほどこうとするが、小学生とはいえ、人間の力にはかなわない。イクラはニヤリと笑うと、タマの口の中へ手をつっこんだ。タラオの位置からは何をしているか見えなかったが、予想はついた。そう、舌を抜こうとしているのだ。タマの叫び声がより大きくなった気がする。イクラはいっそう手に力を込める。タマは目を見開く。イクラは悪魔のように笑い声を上げる。その時だった。乾いた地面を歩く音がした。イクラも聞いたのかタマを離し、音の人物の方へ体を向けた。それはタイコだった。

「なにしてたの?」
「バーブ」

 イクラはかわいらしく笑った。しかしそれが偽りの笑顔だということはタラオしか知らない。
 
「もう帰るわよ」
「ハーイ」

 タイコに手を引かれ帰る途中だった。一瞬イクラがこっちを見たような気がした。タラオはすぐに隠れる。全身の血の気が引いた。もしかしたら気づかれたか?動物の次は人間か?僕か?
 彼はイクラと仲よく遊んでいた時を必死に思い出そうとしたが、彼の頭の中からは完全に消え去っていた。