二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 爆想サザエさん ( No.166 )
日時: 2010/12/18 11:45
名前: ACT ◆.FSmMKpuus (ID: nrzyoCaD)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

26
 
 翌日、サザエが昼食を作っていると庭で足音が聞こえた。

「三河屋でーーす!」

 声の主はいつもよりトーンの低い声で言った。一呼吸置いて、裏口の扉が音を立てて開いた。貧乏くさい壊れかけの音だった。
 磯野家の愛用している三河屋の配達人、三郎だった。

「あらサブちゃん、久しぶりね」
「お早うございます、奥さん」
「あらどうしたの?調子悪そうね」

 彼の声はいつもより暗かったからだ。珍しかった。

「いえ……タマ亡くなったんですよね」
「あら、知ってたの?ごめんなさい迷惑かけちゃって」
「いえ、大丈夫ならいいんです」

 彼はそう言い、頬のニキビをぼりぼり掻いた。
 磯野家が周りから非難の目を向けられた時、彼だけは助けてくれたのだ。サザエは本当に良い青年だと思った。本当に感謝している。

「心配してくれてありがとね、大丈夫だから」
「はい、ではまた今度」
「じゃあね」

 三郎は軽快に帰って行った。
 ふう、と一息ついた時、玄関近くにある電話がけたたましく震えた。
 ただならぬ不安を感じた。
 恐る恐る電話をとる。
 耳に当てる。
 電話の主がしゃべる。

「カツオ君が亡くな———」

 サザエは床に崩れる———。