二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 「純白と夢と」 ( No.12 )
日時: 2010/10/30 21:47
名前: 空梨逢 ◆IiYNVS7nas (ID: pkkudMAq)

*~「純白と夢と」~*


「……チッ」

 今日は寒い。芯まで凍える寒さ、とはこう言う事を言うのだろうか。立ち止まると本当に芯が凍ってしまう様な気がして、ぶるぶるっと震えて自分の身体から雪を振り払った。ひらひら、と舞う雪。こんなにも綺麗なのに冷たい。思わず苦笑する。


 ずっと前から見えていた橋の袂に辿り着いた。ここからなら隠れ場所———家はもう少し。さくさくと軽い音を立てながら雪の中を進む。

……ナニカの音がした。

 ごそごそ、と言う様な音。誰かが動いている様な物音。咄嗟に刀を抜き放ち、「何奴!」と叫ぶ。


「さ、む……い……」

 弱々しい声がした。夢を音にしたらこんな音がするのだろう。あまりにも儚げで透き通った声。

「誰だ?何処に居る」

 周りを見回し———見つけた。半分雪に埋もれかかっている、華奢で可憐な少女。白い肌が雪に溶け込んでいる。紅い唇が開いて、弱々しげな声が漏れた。さむい、さむい……と。



(純白の中で君に会った)
                        

                    ———「純白と夢と」