二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 「こんにちは、御三人」 ( No.49 )
日時: 2010/10/30 21:49
名前: 空梨逢 ◆IiYNVS7nas (ID: pkkudMAq)

*~「こんにちは、御三人」~*


「銀チャーン、私疲れたアル。酢昆布買ってヨ〜」
「誰が買うかクソガキ。今月ピンチなんだよォォォ!!」

 ぽかぽかと温かい、冬の間の春日和。路行くとある三人が居た。ぎゃあぎゃあと言い争う真っ白な肌のチャイナ少女———神楽と、銀髪の木刀を腰に挿した侍———坂田銀時。そして仲裁に入る黒髪眼鏡、志村新八。

「まぁまぁ、二人とも。落ち着いてよ……。どっちにせよ今日は桂さんのおごりなんだからさ」
「甘ちゃんは黙ってなァァ!アタイは酢昆布が食いたいんだヨ!!」
「だからそれも引っ括めて買ってもらえば良いだろーがァァ!!」

 仲裁に入った筈なのに神楽にぎゃんぎゃん喚かれて逆ギレする新八。三人で掴み合い、殴り合いの大騒ぎだ。路行く人は誰も彼もが避けて通って行く。


———そこに、誰かが話しかけた。

「こ、たろ……の友達?」
「あー?こたろってヅラの事?おうよ。銀サンに何か用事?」

 話しかけた少女は、おずおずと微笑んだ。例えるなら……そう、一足先に桜が咲いた様な可憐な笑み。それを前にして三人組———万事屋は思わず見惚れる。いち早く我に帰った神楽が、少女に親しげに話しかける。

「で、何アルカ?私達案内してくれると嬉しいヨ」
「う、ん……案内……」
「わぁ!有り難うアル、えーっと……」

 そう言えば名前を聞いていなかった!と考え込む神楽に向かい、少女はまた話しかける。

「わ、私……夢幻……」

 そして、もう一回微笑んだ。


(こんにちは、大切な未来の御友達)


                ———「こんにちは、御三人」