二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:「表裏一体の感情」 ( No.86 )
日時: 2010/10/30 21:53
名前: 空梨逢 ◆IiYNVS7nas (ID: pkkudMAq)

*~「表裏一体の感情」~*


 桂の家に集まった皆が上がり込み、わいわいと話しだす。今日は此処に行こう、いやこっちの方が良い。次第に口調が荒くなって行く一行を尻目に、夢幻はぼんやりと考え込んでいた。

 此処はとても楽しい。良い人ばかりだし、何より皆も楽しそうだ。幸せ、と言う言葉がぴったりの温かい空間。

———なら、母さん達を亡くして悲しむ私は居てはいけないのでは無いか?

 悲しむべき母と父の死。其れを味わってから幸せになる事は、許されるのか?私は幸せになって良いのか?
……何より、こんな空間に私は居てはいけないのでは無いか?


———『何だよコイツ。髪の色変わったぜ!変なの!』
———『気持ち悪〜!こんな奴なんかと遊んだら髪が赤になっちゃうよぉ!』

———『なんでコイツみてーのが此処に居るんだよ?』


 過去の言葉が、又突き刺さる。彼女の傷を抉る。


「どうしたネ、夢幻!夢幻は行きたいとこ無いアルカ?」
「えっ、あ……う、ん……」
「なら今日は定春の散歩がてら皆でご飯食べに行くヨ!楽しみアル〜」

 目をきらきらと輝かせる神楽を見て、夢幻は少し微笑んだ。此処に居られる幸せ……其れだけを感じて。友達の温かさを感じて。


(何時か表だけになってくれます様)


                  ———「表裏一体の感情」