二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: FINAL FANTASYⅦ—序章—   コメント下さい!! ( No.112 )
日時: 2011/01/04 09:27
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)

   Last Capter is Before 〜仇〜


                            *Cloud Side*

非常停止装置、作動か。
まったく、無駄に高性能だ。

クラウドは屋上までエアリスと抜群のコンビネーションで切り抜けながら思った。

しかし、目の前にはすでに社長室を抜けて発着所へと通じる出入り口が見えている。
バレットたちの仕掛けたらしい爆撃の音が時々響き渡る。
発着所まで少し被害を受けたようで、破損した壁のタイルが強風にあおられて飛んでくる。

「まだ到着していないのか・・・?」

クラウドは発着所にエアリスより一足先にたどり着くと、そうつぶやいた。
ここでバレットたちと落ち合い、飛空挺で脱出するはずなんだが・・・。
背後にエアリスの気配を感じて振り向く。

「まって、まってよ〜。きゃ!?」

足元に飛んで来たタイルがエアリスの歩行の妨害をしたらしい。
バランスを崩した彼女はそのまま目の前のクラウド向かって突っ込む。
ばふ、という音と共にエアリスは気づけばクラウドの腕の中にいた。

「ふ〜・・・。ごめん、重かった?」

「全然。ティファの方が多分重いだろ。筋肉ついてるんだし」

「そ〜お?うふふ」

エアリスはなぜか笑う。
クラウドもそれを見て思わず頬の筋肉を緩める。
と、声がした。

「なんということだ。大事なサンプルを持ち出した挙句、共にここから消えようとは」

エアリスがはっとして笑うのをやめ、顔がこわばる。
恐怖の色を浮かべ、寄り添ってくる。
クラウドはほぼ無意識にそんな彼女の肩を抱く。
もうひとつの側の出入り口から声の主がゆっくりと歩み出てくる。

「これは由々しき問題だな」

「わたし、サンプルじゃない!何度もあなたに教えてるはずよ、宝条博士」

クラウドの服のすそを握り締め、勇気を奮い立たせるかのように言う。
恐れて当たり前だ。何しろ、自分の母親はコイツの手にかかって亡くなったも同然なのだから。

しかし、クラウドはエアリスの口から出たその名前に驚愕する。

宝条・・・!?

「・・・お前が、宝条か」

「んん?そうだが?」

ソルジャー試験に受かっていれば出会っていた科学者。
しかし、彼自身が最も嫌う科学者でも会った。
かつてクラウドの故郷であったニブルヘイムにある神羅屋敷で実験をして、その実験場所を魔晄炉に移し変えた。

数年後、事件は起こった。


『なんだ、これは!?これでは古代種には程遠い!天才の私が、なんという失態を・・・!あるまじきことだ、村の存在ごと消してしまえ!』


村は、宝条の私欲のためだけに消されてしまったのだ。

ミッドガルの学園にてこの知らせを受けたとき、クラウドはどうでもよくなった。

公式には、村の生存者は—————


                                           0。



翌年、世界地図からひとつの村が消えた。

それを知っていたのはクラウドだけだった。

0。

その数字は、絶望を表していた。

幼馴染の奴ら、知り合い、そしてずっと陰で支えてきてくれた母さん。

まともに会えないまま、失ってしまった。

かろうじてティファは格闘技の師匠、ザンガンの活躍によって生きていたが、神羅への復讐を誓ってアバランチに入り、スパイ活動を始めた。

ティファの入手した情報では、火事は事故ではなく神羅の宝条という科学者の手によるものだった———。


「お前が、俺の村を・・・」

「そうか。学園に、あの村が出身地だという者がいると聞いていたが・・・。お前がそうか。いやいや、それはそれは・・・」

エアリスはこいつに実験台に仕立て上げられそうだったといった。
こいつならやりかねない。
俺の村を消しても、コイツは罪悪感を微塵も感じていないのだから。

心が壊れている。

「私を恨むのは筋違いだな。まぁ、一人二人は火事で死んだかもしれんがな。」

「どういうことだ?一体、何のことを言っている」

「あの村の人間を殺したという点については、護衛に付いていったセフィロスという男の仕業、ということだ」