二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: FINAL FANTASYⅦ—序章—   コメント下さい!! ( No.113 )
日時: 2011/01/06 20:26
名前: Shalulria ◆FKgMm.0rl6 (ID: hQNiL0LO)

   Last Capter 〜脱出〜

                           *Aerith Side*

嘘。
宝条の一言に、エアリスはただただそう思っていた。
嘘よ、あんないい人が。
セフィロスというのは、とってもいいソルジャーだった。
ソルジャーのクラスはもちろん1stで、憧れる人もいっぱいいた。
英雄とか言われてて、でも気取った様子もなくて。
エアリスの部屋で唯一自然を感じさせてくれる花も、彼がわざわざ持って来てくれた物だった。

ただ、5年前の任務で行方不明になった。

お兄ちゃんみたいに慕っていたし、あんな施設の中でまともに会話できたのは彼だけだった。

隣のクラウドも、不可解な顔をしていた。

「フン。奴を慕うものは大体この話を信じはしないのだよ。信じるも否もお前らしだいだ。そんな過去はどうでもいい。私は過去には囚われない主義でね。さぁサンプルよ、中へ戻ってもらおう」

「誰が戻るっていうの!?あんなひどいとこ!」

「そうか、ならば仕方ない。傷をつけたくはないが、失うよりはましだ」

宝条は引きつったように笑う。
と、そのまま顔が気味悪く歪み、変形する。
二人は目の前の不気味なことに驚愕する。
目の前の「人だった」ものは、もう人の原形を保ってはいなく、赤と、白と、紫の液体のようなどろどろとした化け物と化していた。

「驚いたか?私と言う存在は死した。とうとうやってしまったのだよ、私は。ジェノバ細胞を自分の中に注入したのだ。すばらしいよ、これは。人の無力さを思い知らされる」

宝条はくくっと笑うと、堪えきれなくなった様にクアックアックア!と笑った。
エアリスは思わず、「狂ってる・・・」とつぶやく。
クラウドは彼女から手を離し、剣を構える。
と、笑っていた宝条だったものはぐらりと傾ぐ。

「グ!?貴様、出てきたのか!?」

宝条と二人の間には、あの獣が立っていた。
Red ⅩⅢだ。

「ふん。私をあんな場所で留めておけると思うな」

RedⅩⅢは炎のともった尾を振って言った。
クラウドが面食らったような顔で目の前の彼を見る。

「しゃべった!?」

「私をそこらのモンスターと同じように思っていたのか?皮肉だな」

不満そうに鼻を鳴らす。
そしてそこから一転、腰を高くして獣が獲物を襲うときのような戦闘体制になる。

「いくぞ。名はなんという」

「クラウドだ。・・・俺に指図するな」

一人と一匹はすばやく怪物の下へ移動する。
エアリスは彼らの足手まといにならないように自分の周りに小石で白線を引き、呪文を唱える。

「———シールド」

すると周りに虹色の膜のようなものが見え、一瞬にして消えた。
立ち上がり、死闘を繰り広げている彼らのほうを見つめ(時折怪物のうめき声が聞こえる)、頭の中に浮かんだ呪文を唱える。

「———ブリザラ!」

怪物の上に大きな氷の塊が勢いよく落下する。
しかし怪物は一人と一匹の戦闘に苦戦していて、気づいていなかった。
クラウドたちが氷に気づき、破片の飛んでくる恐れのないところまでジャンプで跳び去るまで気づかなかった。
はっと顔を上げた瞬間に命中する。
その間、わずか2.0秒———。

次の瞬間には怪物の恐ろしい叫び声が響き渡る。

「おのれ、小娘ーーーー!!!」

首輪に電流が走る。
たまらずうずくまる。

「エアリス!!」

声と共にサンダーの魔法が飛んできて、見事エアリスの首輪に命中するとそれを破壊する。
その方向はエアリスたちの出てきたところと同じところだった。
振り返ると—————。

「ザックス!?どうしてここに??」

「どーしたもこーしたも・・・。つか、なんかやべーことになってねぇ?」

「見たらわかるとおり、そうとう・・・ね」

二人は互いに苦笑いする。
風がさらに勢いを増して、ザックスが空を見上げる。

「ほ〜ら、お待ちかね。来たぞ、お迎え」

「・・・その言い方だとわたしたち、死んじゃってるみたい」

クラウドとRedⅩⅢも気づいたようで、空を見上げる。
怪物も空を見上げる。

「うわああ!!?なんじゃありゃあ!!聞いてねぇぞ!!?」

「クラウドたちもいるわ!!・・・って何でエアリスも!?とりあえずあれ、危ないわ!!シド!!」

「おう、まかせろ!!!行くぜーーーーー!!!」

男性の知らない声→ティファ→さっきのとは違う男性の声。
そして、その飛空挺からの大きな強い爆撃が化け物に次々直撃する。

「すっご・・・」

「おい、つかまれ!」

縄梯子が降りてくる。
クラウド、RedⅩⅢが先につかまる。
ザックスがエアリスの前に手を差し伸べる。

「プリンセス、行きましょう」

気取ってそう言う。
エアリスはくすぐったそうにふふふ、と笑うとその手を取ってザックスの次に縄梯子に手を掛ける。
宝条がエアリスの後ろから気味の悪い手を伸ばす。

「そうはさせるか。この変態科学者!!」

ザックスが刀を突き刺す。
宝条は恐ろしい悲鳴と共に倒れる。
全員が歓喜の言葉を次々と叫ぶ。

飛空挺は3人と1匹が甲板まで乗り上げるのを待って、ミッドガルの空から飛び去った。


    序         章

           L
       C     a
         a     s
           p     t
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END