二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: FINAL FANTASYⅦ—序章—   コメント下さい!! ( No.71 )
日時: 2010/12/11 10:15
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)

   Capter ⅩⅢ —事故—

ここのプールは、温水だ。だから雨でも関係なく、水泳の授業が行われる。
ミッドガルにはほとんど季節は無いから別にいらないのではと思うが、ここはまた、スケート場にもなる。
男子と女子の泳ぐプールは別になっていて、見学者はその二つのプールの周りの好きなところで腰を落ち着ける。
体育の教師はディオで、うわさではゴールドソーサーの園長だと言う話だが、どうなのだろう。
何よりクラウドは、そいつの性格が嫌だった。
もう18歳の俺を少年呼ばわりするし、無駄についた筋肉を惜しみ無く出すために赤いゴムパンツをはいている。
まぁ、俺の私服とかソルジャーは服が大剣を振るとき邪魔しないように肩を出してはいるが、下は長ズボンだし・・・。
とにかく、キモいマッチョだ。

クラウドは腰を落ち着け、右ひざを立てて壁に背を預けた。
そこはちょうど男女の中間で両方見える感じだが、クラウドは男子軍のふざけっぷりを見ていた。
視線を感じて思わず女子のほうを見ると、少し惚けた様な顔で俺を見る—実は見つめていた—エアリスと目が合った。
エアリスは頬をかすかに染め、にっこり笑った。
クラウドは急に気恥ずかしくなって、エアリスが他の女子の所に行くため背を向けた時、彼も顔を背けた。
一体、何なんだ!?
ディオが近づいてきて、座っている俺の肩に手を置いて言った。

「青春だな、少年よ!!」

クラウドはイラついて無視したが、そいつは「ハッハッハッハ!!」と笑いながら去っていった。


                           *Aerith Side*

クラウドと目が合ったよ!!うれしいっ!!
わたし、笑ったとき、クラウドは少し目を丸くしていた。
思わず頬の筋肉が緩んじゃったんだけど、なんか幸福な気分。
ティファ、すごく泳げるよね。
・・・というか、かわいい顔に似合わず強そうな体格してる。
じゃあ、モンスターと戦ったりしたら格闘派なのかな。わたしは無理だけど。
ほとんど他の生徒も上がったから、ティファが先に上がって、わたしもプールから上がろうとしたとき、それはおきた。
もぐってる状態から抜け出せなくなったの。
振り向くと、髪の毛が排水溝の格子に絡まっていて、それが邪魔してるっぽかった。
わたしはもぐってそれを解こうとしたけど、無理だった。息が続かなくて、大量の泡を吹き出した。
ヤバイ、と思ったときにはもう、わたしの視界は暗くなっていた。
エアリスの体はゆっくり沈んでゆく。
心の中で、叫んだ。

                          ———助けて、クラウド・・・!!

                            *Cloud Side*

クラウドは、体育が終わった静けさだけのプールに最後まで残っていた。
見学者は、いつも最後になるのだ。
結局何も無かったな、とクラウドは思った。
ディオは次の授業があるからとあわてて先に行って、ここの鍵は置いていってしまった。
だからといって、一番きらいな教師のために親切心は働かない。
そのまま去ろうとしていたときだった。
頭の中に、声が響いた。

                          ———助けて、クラウド・・・!!

クラウドははっとして振り返った。
最初に感じた、あの嫌な予感がよみがえる。
女子のプールに沿って、注意深く目を凝らしながら走った。
すると、人影が見え、クラウドはぶかぶかなYシャツを反射的に脱ぎとった。
ザン、と言う水音が耳元で聞こえ、クラウドはプールの中にいた。
自分の出した泡のヴェールの消えるのも待たず、クラウドはエアリスの見えたはずのほうに手を伸ばす。
彼女の腕らしきものに当たり、クラウドはその手を引いた。
そうすると、クラウドは何かが彼女の体を抑えているのに気づき、それが絡まった髪の毛であることも気づいた。
即刻それを器用にほどき、クラウドは気を失った彼女の体をプールの縁に上げた。

「おい!!・・・おい!!エアリス!!」

起きない。
クラウドは白くすべらかなエアリスの肌が、より青白くなっているのに気づき、これは危険な状態だと悟った。
やむをえず、クラウドは彼女の胸に手を置いてグッグッグッと押した。
ふうーっと口から息を吹き込む。
そう、人工呼吸だ。
エアリスはごほごほと咳き込み、また気を失った。
しかし、そのとき彼女の瞳にかすかに映ったものがあったことにクラウドは気づかなかった。
自分を助けてくれた彼の姿は、きちんと瞳に映っていた。