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第27話『純粋な悪意』

「なんとかしてこの人達をすくわなきゃ」
しずかが言った。
ああ、そりゃそうだ！、とみんなが頷いた。
だがそんな事ができるという希望は、進んでいくにつれてだんだん薄れていった。
ひとびとは奴隷として扱われている人と、牢獄に隔離されている人々に分かれていた。どちらも同じ表情をしている。
なかには人形より命がある感じのしない人もいた。
このなかにあるのは絶望のほかなにもなかった。

「…っ！」
急に空子の顔つきが変わった。なにかをみつめている。
「どうしたの？」
しずかが空子に訊いた。
「……ん？！」
一瞬遅れて空子が言った。
「どうしたの？」
しずかがもう一度訊いた。が、空子は応えなかった。
「ねえ訊いて…」
しずかは空子に訊きかえすつもりだったが、いきなり空子に口をおさえられたのでやめた。



「諸君。この度はよくこの場に集まってくれた。私は今日から君達を仕切る第一人者だ。名はドルマンスタイン」