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第39話『本当のスイクンと偽者のスイクン』



「その、スイクンという名はだれの名前だったと思う。」
ジョージはまずはじめにそういった。スイクンは「分からない」と言った。
ジョージは言った。
「その名前は元々、お前の師匠、「ヨウリュウ」の名前だった。」
「…！」
スイクンは一瞬驚いた。だがその後、その驚きより、疑問のほうが強くなった。
「じゃあなんで、ヨウリュウはスイクンの名を捨てたの？」
スイクンは不思議な顔をした。
すると、ジョージはこういった。
「ヨウリュウは、自分にはこの名前が自分に相応しいものではないと思い、その名前を捨てたんだ。」
ジョージが真顔でそう答えた。だが、スイクンはそれでは納得がつかない。
「それはなんで？」
スイクンはそう訊いたが、ジョージは「分からない」と言った。
「分からないが、多分あの伝説のスイクンの物語が関係してるんじゃないかね？」
ジョージはそれ以上の言葉を言わず、「じゃぁ」と言って再び職場に戻った。
「(伝説のスイクンの物語…)」
スイクンはそう思った。