二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: リボーン 神様のドルチェ ( No.159 )
日時: 2010/11/16 15:55
名前: 霧氷 ◆vll3drelnA (ID: 2Sdxx4yv)

第六弾「学校」

「が・・・っこう・・・ですか?」

本当にきょとん、としながら春はツナに訊き返した。
「うん」、とツナが頷く。

「やっぱり春もずっと家だと退屈だと思って。どう?」
「・・・お気遣いは嬉しいのですが・・・」
「ん?」

恥ずかしそうに、春はツナに言う。



「・・・あの、“がっこう”って何ですか?」


「・・・へ?」
「も、申し訳ありませんⅩ世」

深々と頭を下げる春。
ツナは助けを求めるようにリボーンを見た。

「ちょっ、リボーン、春って・・・え!?」
「なんだアリサ、学校にも行かせてねーのか?」

リボーンの言葉に、アリサはただひたすら俯き、答えなかった。
何故アリサが答えないのかに気付いたリボーンはツナに言った。

「とりあえず、連れて行けば分かるだろ。な?」
「ご命令、ですか?」
「Ⅹ世のお願いみたいなもんだ」
「ちょっ、リボーン!」
「お前が言い出したことだぞ。責任持て」
「いや、そりゃそうだけど行った事も無いのに大丈夫かなって・・・」

ツナが頭をかきながらゴニョゴニョ言う。
そんなツナに春は言った。

「大丈夫です、Ⅹ世にはご迷惑おかけ致しません。自然に周りに合わせます」
「で、出来る??」
「訓練は積んでいます。ご心配は無用です」
「そっか、なら大丈夫、だね」

少し心配ではあるが、ここは春を信じる他無いだろう。
ツナは女子生徒用の並盛中の制服を渡した。
春は飲み込みが早く、「これを着ていくんですね?」、とツナに確認を取る。
ツナは「俺みたいに着て」、と今着ているカッターシャツなどを引っ張ってみせる。

「分かりました、急いで着てきます」

春は立ち上がると、そそくさと自室へ走っていった。
それを見届けたアリサはツナとリボーンに向き直った。

「・・・主の前ではこの事について口を開くなと9代目から堅くお申し付けられておりましたので。申し訳ありませんでした」
「気にすんな。俺達も気にしちゃいねぇ」
「それで、何で春は学校行ってないの?」

ツナに質問に、アリサは春がいる部屋をチラリと見てから言った。

「本当に極秘なのですが———主は“女の子として産まれてしまった為に、学校に行けなかったのです”。」
「・・・え?」
「どういうことだ?」

アリサは1つおく。

「主は風月家の正統後継者で“初めての女性”だったのです。初代から9代目までの正統後継者は全員男性だったのに、です。異常とも罵られ、そうして主———春様はお生まれになったのです」
「それとこれと、どう関係があるんだ?」
「・・・女性として産まれたという事は、体力、筋力、持久力・・・ほとんどが男性よりも衰えているという事になります。今までの正統後継者は男性。となると、男性と同じ力を備えておかなくてはならないと、8代目当主———春様のおじい様はお考えになったのです。今のままでは後継者に相応しくないと。ですから主は“産まれてすぐ”に力を高める事の出来るカプセルに入れられたのです」
「そんな・・・」
「だから普通の女よりも動きがいいのか」

アリサは頷く。
ツナは昨日戦った春の動きを思い出す。

(・・・ラル・ミルチやミルフィオーレのブルーベル、ましてやクロームには絶対出来ない動きだ・・・ましてや雲雀さんにも・・・)

その思考を断ったのは着替えた春だった。
ツナは春のほうを見て———言葉を失った。

「あ、春———・・・何でスカートじゃないの!?」

そう、彼女は本当に“ツナのように着ていた”。
普通はスカートの筈なのに、ズボンを履いていた。
春はツナに告げた。

「ズボンでは、いけないのですか?」
「いやいやいや、決まり事だから!!悪いけど俺が咬み殺される!!」
「咬む・・・?———・・・そうですか・・・困りました・・・」

春は頭をかく。
ツナはアリサに助けを求めるように見た。
アリサは頬をかく。



「主は———女性の格好をされた事が無いのです」


「え゛えぇぇぇぇ!?」
「まぁ、いいじゃねーか」
「リボーン!!」

ニッ、と笑うリボーンを睨みつけるツナ。
春はほっとした様な表情をしている。
リボーンは春を見た。

「ただし、責任は取れよ」
「勿論ですリボーン殿。Ⅹ世にはご迷惑をおかけしません」
「ならいーだろツナ?」

リボーンに話を振られ、ツナは「う、うん」と笑って言った。