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その日から、フランは昔の自分を捨てた。
弱いだけだった自分を、自ら捨てたのだ。

六道骸。
桃源郷で出会った少年はそう名乗った。
「ろくどう、むくろ・・・？」
「えぇ。そしてここは精神世界。・・・僕は自分の精神から、君の精神まで飛んできたのです」
フランは驚いた。
そんな事が、人間に可能なのか———？
骸は微笑むと、フランに言った。
「・・・しかし生憎、もう僕の器は決まってしまいましてね。どうですか？僕の力を、君に分け与えましょうか??この力があれば、君の憎むマフィアなんていちころですが」
「っ!?」
マフィアを、いちころ・・・。
「まぁ、僕の指示に従ってくれればの話ですがね」
フランに、迷いは無かった。
「従いますから、力を下さい」
暫しの沈黙の後、骸は驚いたようにフランに言った。
「驚きですね。断ると思ったのですが。・・・クフフ、まあ良いです。では、今から君に僕の得意分野———」

「“幻術”を、教えてあげましょう」