二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂&妖界ナビ・ルナ ─白ノ夜叉、銀ノ御子─ ( No.4 )
日時: 2010/11/24 13:51
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: 5YaOdPeQ)

*。プロローグ


赤、黄、橙。
色とりどりに染め上げられた葉が、風に乗って舞い上がる。
其の風は、ルナの長い茶色の髪をも舞い上げた。

「風が冷たい。そうすっかり秋だね」

乱れた髪を整えながら、前方に居るもっけとスネリの二人に声をかける。

「ええ、そうね。それにしても此の町の紅葉は綺麗だわ」

「紅葉なんて何処でも同じっ……ぶっ!」

スネリがもっけの頭をぱぁんと叩く。もっけは頭を抑えて蹲った。
3人が此の町にやって来たのはつい2日前。妖怪達を妖界に送り届ける旅をしていた3人は、ルナの紅葉が見たい、という一言で此処に降り立った。

「そういえば、ルナ。此の町には神隠しの伝説が残っている事、知ってる?」

「神隠しの伝説? ううん、知らない」

此の町に来てまだ3日目なのに、そんな伝説を知っている筈が無い。
逆を言えば、スネリは此の町に関して——あるいは妖怪に関して調べてくれていたのだ。恐らくもっけも。

「何でも数百年以上前から、この町では行方不明になる人が多かったんだってさ」

ようやく回復したらしいもっけが、会話に参加して来た。

「まぁ、そんな事件も時代が江戸から明治に移ると共に減っていたらしい。それからここ百年はそんな事一度も起こって無いんだってさ」

「神隠し……」

ルナがぽつりと呟いた。
神隠し。
天狗や神様に人が連れ去られて、何年か経ってからその時と全く同じ姿で戻ってくるんだと、まだ星の子学園に居た頃に聞いた覚えがある。帰って来ない人達も居た、と言われ、その夜は怖くて友達と一緒に寝た。

「そろそろ帰りましょうか。日も沈んで来たし」

「あ、私もう少しだけ歩いても良い? 直ぐ帰ってくるから」

ルナの言葉に、もっけとスネリは一度顔を見合わせる。太陽は西の空に低くかかっていた。日没まであと1時間といった所か。

「じゃあ遅くなる前に帰って来いよ」

「うん!」

ルナは二人が見えなくなるまで其処に立っていたが、二人が消えるとぱっと後ろを振り向いた。

しかし。

誰が予想しただろうか。ルナの直ぐ後ろに電柱があるなんて。
ゴン、と盛大な音を立てて、ルナは電柱とぶつかった。

「———つ!!」

其の侭、ぐらりと倒れて行く。
いくらルナが運動音痴だからと言って、電柱にぶつかって気絶など馬鹿以外の何者でも無い。

冷たい、と感じたのとほぼ同時に、ルナの意識は暗い闇の底に落ちて行った。


これより始まりますのは

銀と白の不可思議なる物語。

けして交わる筈の無かったふたつの運命は、

これもまた運命の皮肉によって出会い、

やがて綺羅綺羅と輝きだす。
            オニ
白く煌き地を駆ける夜叉と、

銀に輝き天を舞う御子と。

其れは奇跡か運命か、
     ヤオヨロズ
はたまた八百万の神の気まぐれか。