二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [銀魂] れんれん.[おり伽羅募集中] ( No.4 )
- 日時: 2010/09/25 10:32
- 名前: みんと水飴 ◆vBOFA0jTOg (ID: QRCk5boE)
- 参照: http://amenomori22.jugem.jp/
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押し寄せる雑兵を蹴散らす、戦国の時代だった。
時は戦国。世は不穏。
21世紀に突入して一段落している現代の日本国とは違って、平穏な筈もなく。
都会を取り囲むあらゆる雑音はこの時代では、断末魔に過ぎない。
「ぎ……、とき……」
「喋んなッ!!」
己の目の前には血塗れの幼馴染み。
腹からはドクドクと紅が溢れ、止まる事を知らない。
荒く呼吸する彼女の意識を保たせようと、必至に彼女の名前を叫び続けた。
嗚呼、どうしてこんな事になってしまったのだろうか。
解って筈なのに──。
戦場に出ると言う事は、己の命を散らす場だと言う事を、理解していた筈なのに──。
何故、彼女は戦場に、今朝食べたバナナの残骸を持ってきてしまったのだろうか。
(ちゃんと今朝にゴミ箱にバナナの皮を捨てておくべきだったな)
バナナの皮で滑り、体制を崩して天人に刺される等、馬鹿の何者でもない。
今朝食べたバナナの皮を捨て忘れるなんて、何と言う羽目をしてしまったのだろう。
周囲で灯火が一つ、また一つと消える度に、彼女も彼奴等も、
何時かは其奴等と同じ様に命を散らす日が来るのかと不安だった。
でも自分は、彼奴等は大丈夫だと、こんな所で死ぬ訳が無いと、思っていた。
自分達の実力は隊の中ではかなりの実力であったし、天人共に殺られる程弱く無いと自負していた。
自分は“闇夜叉”だなんて大層な名を付けられ、彼奴等と合わせ伍天王などと称されるようにもなった程だ。
自分達が死ぬ事は無いと思ってた。
だから今の状況が理解出来なかった。
彼女の腹部からは止めどもなく血が溢れ、地を赤く、紅く染め上げていく。
コレは一体、ナニ?
「畜生ッ!! 止まれッ!! 止まれよッ!!!」
傷口を抑え止めようとするも虚しく、じわりと自身の手を汚しただけだった。
「……ぎん…、ごめ……」
無黯から伸ばされた手が、銀時の頬に触れた。
「もぅ……一緒に、いられ、ない……」
「んなの駄目だッ!! 許さねェからな!!!」
無黯がフッと笑った。
嗚呼、何時以来だろう。
彼女のこんな穏やかな優しい笑顔は。
何故こんな時にそんな笑みを見せるのだ。
「……銀兄ィは、まだ、こっち来ちゃ駄目、だよ……?」
ゆるゆると瞼が落ちていく。
頬に添えられた手が、力無く、ずり落ちた。
無黯、と彼女の名前を呼んだが反応は無い。
嘘だ。
嘘だと言って。
「—─ッ!! 無黯ォッ!!!」
曇天の下、銀色の嘆きが響いた。
慟哭
(酷く悲しく、)(銀色は泣いた)