二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ___さらば、愛しき人.*.゜ 【薄桜鬼】 ( No.6 )
- 日時: 2010/10/03 19:08
- 名前: 白兎 ◆0nP86ByjUs (ID: 7jEq.0Qb)
- 参照: ありがとう......貴女に伝えられたら、どれだけ良かったのだろう
静かな京の夜に、3人の男の声が響く。
「あれー? もう死んでるじゃないですか」
「連絡では、先程騒ぎを起こしていると聞いたが」
「心臓を一突き————なかなかの手だれだな」
男3人は死に絶えている白髪の男の様子を見てそれぞれだ。
「あはは、誰かに知られちゃったみたいですねー」
緑の瞳を揺らしながら、笑う茶髪の男。
「……副長、どのように致しましょう」
大人しく上司の指示を待つ、青い目の男。
「…まだ、遠くへは行っちゃいねぇはずだ!探せ」
眉間にしわを寄せたまま、指示を出す紫の目の男。
「御意」「はいはーい」
部下らしき2人の男たちは、スッと姿を消した。
『……気まず』
声はするんだ、すっごく懐かしい。
でも、本当に彼らか調べるためには身を翻す————だけど、物音が立つ。
うん…どうするべきなんだろうね、この状況。
『鈍くさいなぁ、俺って』
一方、物陰に隠れていた青年は自嘲しつつソッと息を沈めた。
————多分、時間の問題かな。
そう、思った瞬間。
足音がした。
男は、口元に笑みを浮かべたまま右手は鞘にかかっている。
「あーあ、思ったよりも早く見つかった。ほら、出てきなよ」
間近で聞いてもやっぱり聞き覚えのある声。
青年は、少しクスリと微笑むと立ち上がった。
————この声を忘れるわけがないでしょう?
『酷いなぁ、総司。俺のこと、忘れちゃったわけ?』
「こ、この声…! まさか・・・」
総司と呼ばれた男は、バッと近づいた。
青年は、酷いやと笑っている。
「おい、どうした総司!? っ、瀬那か…?」
「……久しいな、来る刻には間に合っていないようだが…」
続いて駆けつけた二人に、ニッと笑う青年。
そして、副長と呼ばれた男に近づいて敬礼に近い姿勢をとった。
『お久しぶり。雨宮瀬那、無事に新選組合流いたしました』
「この…、何が無事にだっ!! 馬鹿が!」
瀬那と呼ばれた青年の頭上には、ドスッと鈍い音を立てて拳骨が振り下ろされた。
不意打ちとあって、先程の運動神経を見せる余裕も無い。
『痛っ…、いきなり酷いですよ。土方さん』
青年は涙目になって、土方という男を睨んだ。
「到着時間から、何時間過ぎてんだと思ってんだ!!」
「…騒ぎを起こして、この状況を周りに見られたら危険です。副長、とりあえず移動が最優先かと」
「ほんと、一君の言うとおり。鬼の副長ともあろうお方が、こんなところで騒ぎ起こしちゃって」
総司はいとも可笑しそうに、土方に笑いかける。
それを悪乗りして、瀬那も追い討ちをかけた。
『……まだ、見てない顔ぶれもいるし…とりあえず、屯所連れてって。この格好、何気疲れるんだけど』
だるそうにしている瀬那に、仕返しといわんばかりに嫌みったらしく土方は言う。
「ん、聞いてなかったのか? ————新選組ではずっと、その格好だ」
『はぁぁぁぁ!?!?!?!』
『ちょっとどういうことだよ、土方さ「…あまり騒ぎ立てるなと言っただろう、瀬那」…はい』
斎藤の言葉にコクリと頷き、素直に斎藤のあとにつく—————しかし、視線は憎たらしい土方への睨みでいっぱいだ。
「あーあ、嫌われちゃいましたね。昔は、あんなに懐いてたのに」
「うるせぇぞ、総司」
———————この瞬間から、瀬那の未来は大きく揺るぎはじめていた。