二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ___さらば、愛しき人.*.゜ 【薄桜鬼】 ( No.11 )
- 日時: 2010/10/05 21:49
- 名前: 白兎 ◆0nP86ByjUs (ID: 7jEq.0Qb)
- 参照: ありがとう......貴女に伝えられたら、どれだけ良かったのだろう
『ここが、新選組かー…』
俺、雨宮瀬那は屯所の入り口で周りを見渡していた。
充分整った敷地内。
でも、彼らに聞いた隊士たちの人数を考えると、随分窮屈そうに感じる。
総司や一は既に、中に入り瀬那も立て続けに入ろうとした。
だけど一歩踏み出したとき、ふと気づく。
土方さんの視線は、違う——…勝手口の方に注がれていた。
「————てめぇら、そこで何してんだ!」
そこで、ギクッと三つの影が揺れた。
ひそひそ声のつもりかもしれないが、充分と聞き取れる。
「ば、ばれちまったじゃねぇかよ!!」
「新八つぁんの動きがいちいち大きいからだろ!?」
「とりあえず、この状況をどうにかするかだな」
『聞こえてるよー、そこの3人』
俺は反射的に、彼らに声をかけていた。
すると、怪訝そうに俺の方に視線を向けてくる。
「誰だ」とでも言いたげに。
なんだか、3人とも同じ反応なのが面白くて俺は少し笑いをこぼしてしまった。
そしたら、緑の鉢巻をした大男がまず声をかけてきた。
「…おい、土方さん。こいつ…」
「あー、てめぇらの言いてぇことは分かったよ。
あとで、幹部連中には報告することだ。
さっさと、てめぇらは自分らのやったことを吐け」
俺のことはどうでもいいと、土方さんは俺の方を見て視線で「総司たちのとこへ行け」と訴える。
———…確かに、ここで彼らが精神的に追い詰められるのを楽しんでいられるほど悪食じゃない。
瀬那はそれでも少し戸惑っていたが、勝手口から後ろ手が引かれる。
『うわっ…!!』
「あの様子だとまだ時間かかるみたいだし、僕が案内してあげるよ」
ニコッと微笑んだ総司が後ろにいた。
思わず剣に手をかけた自分が情けない。
俺も緊張を解いて、素直に頷いた。
一も向こうで、早くしろ、とでも言いたげにこちらを見ていた。
この中で、俺はこれから過ごしていくんだ————
楽しい時間———…瀬那が憧れた時間は、ここで叶うのだろうか。
否、彼女の願いが叶うことは無いのだろう。
復讐で彼女が行き続ける限り————は。