二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ——手と手を繋いで[銀魂] ( No.38 )
- 日時: 2010/10/09 12:08
- 名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
- 参照: 真剣な横顔を見るのに、真剣になってしまう。
004
「なんだなんだぁ??まーた神楽が面倒くせぇことしでかしたんじゃねぇだろーなぁ」
「十二分にその可能性が在りますね。銀ちゃんさん」
「その呼び方やめろっつてんだろーが、お前の耳はただの穴か」
“銀ちゃんさん”と呼ばれ続ける、銀髪天パの青年——、坂田銀時はジャンプを置いて路地裏から出る。
続いて、長い黒髪の落ち着いた雰囲気の少女が続いた。
表に出る直前に、もう1度大きな音が響いて、誰かの叫び声も銀時の耳に届く。
「かぁぐらぁ?!何やってんのォ?!」
銀時の大きな声に、チャイナ服を身に纏う少女は方をビクッと振るわせた。
「な、何アルか!!何もしてないアル、私何もしてないネ!!ただちょっとだけ銀ちゃんのいちごミルクのんだだけネ!!」
「神楽ちゃん今なんて言った??俺のいちごみるくをどうしたって言った??」
「飲んじゃったアル、ごめんネ」
下らない遣り取りを続ける、銀時と神楽。
そんな様子を見つけ、早速間に割って入り逆に殴られる、地味眼鏡の志村新八。
万事屋3人が盛り上がっている中、1人冷静に自体を分析する少女がいた。
「・・・・・・、姐さんが暴れてます」
黒髪の少女——、霽丸香澄が呆れつつ、少しだけ微笑み言った。
——————
遡ること、15分ほど前。
屯所を出た4人は、かぶき町に来ていた。
近藤・沖田が前を歩き、その後ろを土方・春風が歩く。
土方の左手にはみたらし団子、右手には、赤いキャップの容器が。
「・・・・・・、土方さんー、みたらし団子って言うのはですね、このタレが美味しいんですよ??」
「馬鹿言え、マヨネーズは何にでも合うんだよ」
「いや、そんなこと誰も訊いてません。てか絶対キモイですよ、それただの白い物体ですよ」
「マヨネーズを馬鹿にする奴は許さねぇぞコラァァァア!!!」
春風は、ここへ来て初めて土方の迫力に怯む。
マヨネーズに、ここまでの執着が在るとは、想定外だ。
春風は頬を膨らませた。
「・・・・・・、太りすぎで死んでも知りませんから」
面倒なことになりそうなので、小声で呟く。
マヨネーズとの対話に夢中の土方の耳には届かないようだ。
「なぁ総悟ォ、ちょっと寄っていかない??お妙さんのとこォ」
「こんな昼間っから何考えてるんでィ。イヤらしいことてのは日が落ちてからやるもんでィ」
「滅相もない!!俺はだなぁ、純粋にお妙さんに会いたいだけだ!!」
「キモイでさぁ」
「どうして?!」
前を歩く2人は2人で、ありえない会話を繰り広げる。
とはいえ、春風には“お妙さん”という人物の情報がないので、なんとも言えない。
隣のマヨラーは相手にしてくれないし、口だしをしてみた。
「僕が付いていくましょーか?? その、お妙さんって人のとこ」
満面の笑みを浮かべ、春風は言う。
近藤は満足げに言った。
「おォ!! 紹介しようじゃぁないか、俺の許嫁を!!お妙さんを!!」
刹那————、近藤にドロップキックが命中した。
「あら、近藤さんじゃありませんか。どうしたんですか?? そんなとこで寝ころんで」
「お、お妙ひゃん、」
「地べたに転ぶなんて、不潔だわ。やっぱり貴方はゴリラかもしれませんねー」
とかなんとか言いながら、お妙は近藤を踏みつける。
起きあがろうにも起きあがれない、近藤は哀れである。
男が女に踏まれる、という見たことのない光景を目の当たりにした春風。
はっきり言って、珍しすぎて目が離せない。
「それから、許嫁、なんて何処の何奴が言ったのかしらぁ??」
表情はこの上なく笑顔だが、言っていることは酷。
白兎に似たオーラを放つ人間だった。
「そんなぁお妙さん!!俺たちは結婚を誓った仲じゃないですか!!」
「勝手に記憶捏造してんじゃねぇぞコラァァァァア!!!」
「へぶっ」
ヘンテコな悲鳴を上げ、お妙キックで宙へ舞うゴリラ。
そのまま、銀時たちの近くまで飛ばされたというワケである。
そして、現在。
——————
「あああ姉上?! 何やってんですか近藤さん死にますよ?!」
「大丈夫よ、ゴリラ丈夫だもの」
「そうネ!!ジャングルの帝王はそんな簡単に死なないヨ」
「違うからね近藤さん人間だからね?!」
近藤の屍の前で騒ぐ3人をよそに、面倒くさそうに出てくる銀時。
そんな銀時に、香澄は尋ねた。
「あの黒い服の者たちは、一体どちら様ですか??」
自分たちの事だと理解したのか、土方は黒目を香澄に向ける。
——見かけねぇ面だな・・・・・・
普通のモノよりも短い、膝までしかない着物を纏う黒髪の少女。
年中かぶき町で仕事をしている彼らだが、見かけたことがなかった。
「どちら様でも此方様でもねぇよ。ありゃぁ、ただの税金泥棒だ。気を付けろ」
「オイてめぇ、だぁれが税金泥棒だって?!」
「泥棒でなけりゃアレだ、マヨネーズ星人だ」
「心外でさぁ、旦那。それは土方さんだけでィ」
イマイチ分からない、と言った表情で真撰組の面々を見つめる香澄。
それから、今日初めて微笑んだ。
「先日から、万事屋にて仕事をしてやっている、霽丸香澄です。
税金泥棒さんと、マヨネーズ星人さん、宜しくです」
また面倒なことを覚えた、と銀時が頭を抱えたのは言うまでもない。