二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 余命数ヶ日のボーカロイド 〜初音ミク〜 ( No.12 )
- 日時: 2010/10/21 20:20
- 名前: ミズキュウラ・ドラッテ (ID: qrnJbgt/)
「……ハジマリの、歌……?」
「そう。ハジマリの歌。正式には…『終わりはハジマリの歌』」
その響きはとても懐かしいモノだった。
聞いてて何かがココロを埋め尽くしていく。
そんな詞。
「これ…私の歌なの……?私が歌う歌…?」
声が…掠れて…上手く呼吸ができない…。
初めてじゃないのに、初めてのときみたいに、心臓が激しく脈を打っている。
マスターは一瞬言うのを躊躇うように口唇を咬むと決心が付いたのか口を開いた。
「……そうだよ。これはキミの歌だ。…だけど、これは今歌う歌じゃない。そのときが来たら……歌ってくれる?」
優しく——しかし其処には悲しみの色を宿して——マスターは言った。
其れがどんな意味なのか、気分が高揚している私には分かるはずもなく。
「———うん!」
笑って言った。
今思うと、あの時の私はナンテ幼かったのだろうか。
考えれば判る筈のものを………
久々の歌に無邪気に喜んで………
「………もう少し、マスターといたかったな…。もう少し…皆といたかったな……」
星が瞬く夜空を見上げて、私は泣いた。
ここにいれる時間……あとどれくらい?
残ってる時間……もう無いの?
考える時間が長くなってきた。
もう終わると知ってしまったから。
キミの優しさがボクのココロのなかで冷たく息をしている。
悲しくなるほど…呼吸に触れたい。
寂しさを誤魔化しても…ココロが無くなったとしても……愛されていたい、もっともっとキミに。
冬の空は思い出という風が吹いていた。
近すぎて見えないほど傍にいたのに。
いつも笑ってるキミの横顔。
強くなれる…そんな気がした。
そんな気がしたのに…。
何も見えなくて。
何も言えなくて。
キミは覚えているのかな。
あんなに楽しかった日々を。
きっと忘れているだろう。
生きていける…そんな気がした。
明日の夕日が見たくなったんだ…。