二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 余命数ヶ日のボーカロイド 〜初音ミク〜 ( No.40 )
日時: 2010/11/08 19:54
名前: ミズキュウラ・ドラッテ (ID: qrnJbgt/)

 限りなく空は遠くて。
 遙彼方にキミは居る。
 テキストしてるとき。
 私がどんな気持ちだったか…キミは知らない。
 ……知る分けない。
 だって…言ってないんだもん。
 …キミに恋してるなんて。


 「ほら、これが心拍数。脈が乱れてるでしょ?因みにね、この状態で男性の写真を見るとより一層その人が素敵に見えるんだって。走った後になんかね。で、これが心臓。ちょっとグロいけどそこは我慢して。——動いてる心臓初めて見た?怖いけど…綺麗だよね。ミクに核(心臓)があるように、ぼくらだってちゃんと備わってるんだから———ってこの前も言ってか。ごめんごめん。でね、これが———————————」

 マスターが容器に入ってる気味悪く動いているそれを(心臓って言うけど私には受け入れがたい。こんなものが人間の核だなんて)笑顔で説明していた。
 恋を知らないと言った直後に「だったら……」と説明し始めたのだ。
 仕事に熱中しているマスターは無意識に微笑む。
 彼自身気づいてないのだろうが(それを言ったら驚いていた。やはり気づいてなかったらしい…鈍感だ)私はその顔を見るのが好きだった。なんていうか、落ち着く。
 安心する。何でかわから無いけど。

 「ねぇ、マスター。心臓ばっか見てたら私の目オーバーヒートしちゃう。いろんな意味で」

 「ああ!ごめん。今片付けるよ。というか、だいたいのことわかった?」

 「失敬な!『心臓』のことは嫌なほど丸暗記しました。もう、機械を普通の人間と同じ扱いしないでよね。これでも一応は【歌姫】なんだからさ」

 最後は嫌味に近かった。
 鈍感すぎるマスターに。
 少しイラ立つ。
 扱い方にもそうだけど。
 ……………………ねぇ。
 気づいてよ。私は気づいたんだよ?
 ……これが恋だって。
 安心感が。
 恋なんだって。
 ……ほんと。
 マスターは鈍感すぎだよ。
 そんなキミだからこそ。
 私は好きになったのかもしれない。