二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 自分探し 【銀魂】 ( No.113 )
日時: 2011/04/16 19:38
名前: 海苔 (ID: 7POxSCHv)
参照: え、もう4月!?

第四十一訓 CMの後もまだまだ続くよ!




睨みつけて言葉を発したとき、土方の脳裏には先ほどの会話が蘇った——


「三人、だけですか……?」


女は呆けた口調で尋ねる。
どうやらそれなりにいると思っていたのだろう。
机を間に3対1。机の上には女が持ってきた菓子が丁寧に置かれている。近藤は菓子を受け取り自分たちの方へと置く。
それを合図としたように土方が口を開いた。


「それで俺たちに何のようがあるんだ」

「土方さん。何をそんな急いでんでィ。まだ茶のひとつも出してねぇってのに。
 すいませんね。俺のパシリが……」

「オイィィィッ!!! 誰がお前のパシリだぁ!」

「二人とも喧嘩はやめてぇっ!
 はは、すいませんね。こんな姿見せて……」

「いえ大丈夫ですよ。——よかった」


よかった? こんな状況を見て誰もそんなことは言わない、いや言う訳が無い。
この女は何をしに来たんだろう。香音に用があるみたいだが。その前に名前はなんだろうか。


「あ、自己紹介がまだでしたね」

「じゃあ俺たちから」

「みなさんのことは新聞などでご存知です、副長さん」


にこりと微笑んだ顔の裏には秘密があるような気がした。


「向井 音成と申します。はるかの家の裏に住んでまして、7年前から一緒に暮らしてます。
 そしてその時から、はるかに秘密にしていることがあり——」

「それがはるかが男だということに関わりがあるってことですかィ?」


音成が小さく頷く。
閉じられた廊下に面した障子の方を見つめた。外から日の光が差している。


「7年前の火事は私の不注意だったんです。当時あの子には兄がいました」


当時、つまり今はもう——。三人は黙って話を聞いた。



「——風の冷たい秋の日のこと。あの子の兄は私の家に遊びに来ました。

 「落ち葉を集めて焚き火をしよう」そう言いました。
 
 私はそこで思い出しました。

 「この前さつまいもを買ったから焼き芋にしようか」

 「取ってくるから少しの間、火を見ててね」

 家に入って取ったとき窓がひしめくほどの風が吹きました。

 そして火があの子の家の前にあった新聞紙の束に燃え移ったんです。

 幸い火は広がりませんでした。しかし両親はどうにもならず……。

 あの子の兄ははるかを助けましたが、兄もそのまま……。

 それからあの子は兄になろうとして自分を男だと言っているんです。



 これが真相です」


部屋にはただ沈黙が流れた。