二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 自分探し 【銀魂】  −流砂篇− ( No.133 )
日時: 2011/07/18 19:40
名前: 海苔 (ID: v1PUoFnc)

第五十訓 2分の1とかどうしようか




眼を覚ますと知らないとこに居た。


視界いっぱいの木の天井。横を見ると畳に障子。
窓が開いていて湿っぽい空気が流れる。
仰向けに放置されているため、外は見えない。

起き上がろうとするが手足は縛られていて身動き1つ取れない。
器用に足を使って壁に寄りかかる。少し休憩して、そのまま窓辺まで移動すると外が見えた。


「あ……!」


潮の香りが途端にする。波の音が耳に飛び込む。
空と海が一体と化してしまったように暗い。

どうして海?
なんでこんなことになってんの?
ぼんやりしている頭を振って思い出す。

えっと、確か橋の上に人がいて——


——

怖かった。よくわからないけど、怖かった。


「香音」


ポツリと彼は口にした。
その途端何ともいえない声に背筋が震えた。あ、Mとかの意味ではなく。


「久しぶりだな。あの日、以来か?」

「そうだね。高杉……さん」


とりあえず話を合わせてみる事にしたが呼び捨てはきつい為、小声で、さんを付けてみた。
そして高杉はキセルを口元へと寄せる。ふわふわと煙が舞うのを、土方さんの煙草と重なって見えてくる。

そこで用件を思い出した。


「あっ、ねぇ屯所までの道知ってる……ますか?」


なんだ、知ってるますかって。でも敬語を使うべきか——じゃないんだってば。今は。


「……お前真選組なんかでやってんのか」

「まぁ一応」


あははと無理に笑っているが辛い。なんだこれは。新手の拷問か何かで。
高杉は片目で私を見回した後、来た道とは逆の方を指差した。


「向こう?」


何も答えない。信じていいのか戸惑うけど、行ってみたほうがいいのであろうか。
少し考えて私は高杉の指した方へと歩き出した。


「ありがとう」


隣を横切る際、お礼を言って。



——高杉の口元が笑っていたということにも気づかず。


——

「ダメだ。お礼を言った後から思い出せない」


ズキズキと痛む頭とわき腹。……わき腹?
あ、原因わかりました。これは殴られましたね。

とりあえず原因はわかったとして、一番の問題はなぜ私がここにいるかだ。
考えられるものとすれば、真選組おびき出すための人質なのかなぁ。


暗い海を眺めながらもやもやと悩んでいた。