二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 自分探し 【銀魂】 −流砂篇− ( No.141 )
- 日時: 2011/08/21 19:55
- 名前: 海苔 (ID: GIxrqpJQ)
ふわふわいい香りがして、隊服越しに体温が伝わってくる。
だからなのかわからないけど。
おぶられたまま、喧騒の音を聞き、まぶたを下ろした。
第五十二訓 夏休み後半ってなんか哀しい
背中にはるかをのせ俺は走り出した。
ここに来るまで邪魔した奴らは全員気絶させといたものの、いつ起きるかわからない。
それに高杉にばれるのも時間の問題だ。早くこいつを安全なとこに連れていかねーと。
幸いはるかは眠ってしまった。あとは船内から出るだけ——
「おい」
曲がり角から声をかけられ立ち止まる。
顔なんてみなくても相手は誰かなんて嫌でもわかってしまう。
「来るの早えーだろ、高杉」
ゆっくりと歩き、進むべき道をふさいだ。
ここをまっすぐ行けば外への近道だというのに。
高杉は低く笑う。
「勝手に進入してきて何言ってんだ?
まぁいい。そいつ、返せ」
「はっ、ざけんな。
つーかお前。はるかに何しようとしたんだ」
一触即発なんて言葉が脳裏に浮かんだ。
いくら高杉でも人を抱えている状態で斬ってくることはないだろ。
さてどうやって逃げるか。
+++
「はるかってなんて言うか、トラブルメーカー、なの?」
月が照らす中、はるかを探しつつの夜の巡察を兼ねていたとき。狼刀が言った。
夜の巡察は危険のため隊内で一番年上であろう終が同行している。
しかし夜更かし大好きだぜ! オールナイト、ふぅーっ! が多い藤月隊はほぼ全員で巡察を行っているのだった
「いや狼刀。それは違う。
はるは……そうだな、おっちょこちょいだ」
「あー、なるほど」
納得しかけた二人の間に裄乃が割って入ってきた。
「ノンノン、2人とも! はーぴょんはトラブルメーカーでも、おっちょこちょいでもない!
あの人は——」
わざと間を空けて一呼吸。
「いじられキャラ、なんだよ」
途端に空気が緩み、全員理解したようだった。
まぁそうだよね、今までだってそんな感じだったしなどとそれぞれ思い当たるところが一致したようだった。
「とりあえず意見がまとまったところで、はるかさんも見つからないので一旦帰るのである」
「春ちゃんの意見に賛成でー」
眠いのか目を擦りながら穂乃嘉が答え、藤月隊の面々は帰ろうとした。
しかしそこで翡翠が声を上げる。
「あっ!」
「ちょ、翡翠どうした!?」
「今怪しそうな人が路地裏入っていきました!」
翡翠の報告に終の顔が引き締まった。
——もしや昼間の浪士か。なら行かざるを得ないな。
「行って見よう。
大人数で行くと厄介だから……春、狼刀。着いてきてくれ」
名前を呼ばれた二人は小さく頷き足音を殺してそこへと近づく。建物の影に潜んで相手の様子を伺う。
——向こうは一人。背中に何か担いでるようだが……?
ゆっくりと背中のものを下ろし立てかけるように置く。相手がそこから離れようとした時、終は刀に手をかけ先陣を切った。
「こんなところで何をして——っ!?」
後ろから春たちが続くが、彼らの前にそいつはいなく。代わりに見たものは壁に寄りかかるようにして眠るはるかの姿だった。