二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 自分探し 【銀魂】  −流砂篇− ( No.142 )
日時: 2011/09/01 20:49
名前: 海苔 (ID: ZdG3mpMH)

『俺さ この戦争が終わったらあいつに会いに行くんだけど俺のこと覚えてるかな?』

『さぁな でもお前みたいなアホなら顔見ただけでわかるだろうよ』

『おい晋助 それどういう意味だ』


  懐かしい記憶。

血生臭い戦場であいつとはいつも話した。
戦争なんて早く終わればいいとか、今日戦った天人は強くて仲間に助けてもらっただの。家族のことや、なんで戦争に参加したか。
“神の使い”とかの異名を持っているみたいだと自慢してきたと気もあった。

だけどあいつは仲間を守ろうとして——

『ゲホッ しんす、け……』

雨が降っていた。

『仲間は無事か……っ』

『そいつなら無事だから しゃべんな』

『まだせんそ……おわって、ないのに』

『黙ってろ』

『あの言葉、死亡フラグ立ってたか、な……?』

『黙れ』

『ひどいこと、いうなぁ し、すけ、俺の代わ、りにさ……頼んでい、い?』

『黙れってんだろーが!』


あのときの俺の声はむなしく響いて、あいつは笑う。
自分より相手のことを人一倍思っていたあいつの願いを俺は叶えようと心に決めた。


『俺の……大切な、いも、うとを……守って……』


+++

「晋助さまぁぁぁっ!!!」


木島の声でここは船内だということに気づく。
さっきのふざけた侵入者にはるかを持っていかれて散々だった。

そんな中、くしゃみを一つ。
窓を見やると外から何かの粒が舞っている。


その瞬間、不意にあの記憶が思い出され——


頭を振ってかき消す。
もうあいつはいないんだ。だから俺は俺にできることを精一杯やるしかない。


「……かなた」


ポツリと亡き戦友の名を数年ぶりに口にし、司令室へと帰った。





第五十三訓 え、今からオープニング?って展開最近多いよね





「——え」


見覚えのある場所。外からは可愛いすずめの声。障子越しの朝日が眩しい。
まぁ、なんて素敵な朝なんでしょう……って。


「か、帰ってきたでっ!」


慌てて身を起こして障子を開け、廊下を走る。いつも走ってんな私。
今は朝食の時間だから、みんな食堂なうのはず。
それに助けてくれた“彼”は多分、総梧か土方さんだと思うからお礼を言わねば。


「ひっ、じかたさーん!」

「ぶっほぁ!?」


食堂に入るや否や声をかける私。土方さんを見つけて近づくと、どうやら味噌汁(マヨネ風味)を噴いたみたい。


「そんな不味いもんかけるからだよ」

「バカか、お前は!?
 って元気じゃねーか。あいつらの報告じゃ、青い顔で今にも死にそうとか言ってたけど」

「え? じゃあ助けてくれたのって藤月隊か」


一人で納得して土方さんの緑茶を飲み始める。
でも居たのはあの人だけだったような。


「ちげーよ、藤月隊は路地裏で寝てたお前を見つけただけだ」


じゃあ土方さんが助けてくれた——わけは無いな、うん。となると総梧ってわけでもなさそうだし。

それじゃあ、結局私を助けたのって誰なんだろ……?