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前回、無理やり薬を飲まされそうになって逃げたとき。
熱が上がり、そのまま意識が飛んで静かに丸三日寝たら……


『無事完治しました。いぇい！』


昨日ピースつきで土方さんたちに報告したところ。


『じゃあこれ寝てた三日分の仕事な』


なんてさわやかな笑顔で、最後に報告しに行った総梧くんは
私に山のような書類を押し渡し、アイマスク片手に去ってった。


+++

「って、おかしくね!?」


机にのってる書類ごとひっくり返したら、紙がひらひら舞いやがった。





第五十九訓　平和って本当に素晴らしい





「あー、つっかれたー」


息抜きと称し、久しぶりに外へ出る。
日差しは暖かいけど風が少し寒い。でもこんな日もあったっていいはずだ。
川沿いの土手で見回りのルートにも入ってる道を歩く。
すれ違う人たちは犬を散歩させてたり、親子だったりカップルなど平和そう。

私は腕を伸ばして大きく伸びをする。
さて、そろそろ戻らないと起こられるな。近道でもして帰るか。

そして橋を渡ろうとしたとき。なにやら人が騒がしく集まっている。
真ん中を囲むように野次馬たち。……平和だと思ったのに。通れないじゃないか。

手前にいる男性に何があったのか訊こうとしたが、中央からガラス瓶の割れる音がしてよりいっそう騒ぎは大きくなった。


「あぶねぇ！　ってか止めろ！」

「ノールールでやれや！」

「だっ、だれか！　警察呼んで来い！」

「……はい？」


たまたま居合わせたこの瞬間。嫌な予感しかしないのはいうまでもなかった。