二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 自分探し 【銀魂】 ( No.16 )
- 日時: 2010/10/26 16:23
- 名前: 海苔 (ID: WIggsYMd)
第六訓 ゲームのセーブデータって基本3つ
なんで、この人は私の名前を知っているんだろう。
「お前、はるかなのかっ!?」
お兄さんは差し出されたジャンプを小脇に抱え、私の手をつかむ。
いきなりのことに頭がついていかない。
「あれ以来。お前だけどこに行ったのか誰も知らなくて心配したんだぞ」
あれ以来——? この人は俺の過去を知っている?
「あれ以来っていつの事……?」
咄嗟に出た言葉。今の俺の頭の中ではこれを言うのが精一杯だった。
「忘れたのか? 攘夷戦争の時以来」
攘夷戦争……、つい数十分前に習った言葉だ。
天人が襲来してきた時、戦ったっていうあれ。
じゃあ俺は記憶を無くす前、攘夷戦争に参加していたのか?
「それにしても随分と変わったなー。俺に敬語なんて使ってるし」
お兄さんは笑いながら昔のことを懐かしんでいる。
罪悪感を感じながら俺は話し出した。
「あの俺は、はるかだけど。お兄さんが知っている、はるかじゃないんです」
お兄さんの笑顔が消えた。
頭の中にはハテナでいっぱいだと思う。
「えっと……何て言えばいいんだろう。
数年前俺の家は火事になって、そのときに記憶も消えたんです。だから昔のことは何一つ覚えてないんです。
すみません」
深々と俺は頭を下げる。
こんな事いわれて驚いてるかな。いや怒っているかも。
胸の中でドキドキしていると、頭に重みが乗った。
顔を上げるとお兄さんが俺の頭に手を置いていた。
すると急に髪をワシャワシャとされた。
「えっ!? ちょっお兄さん!?」
驚くばかりで、少しして手が離れて、俺は髪の毛を直した。
「別に記憶が無いってんなら、また覚えていきゃーいいじゃねーか」
平然とした口調だった。
同情でも何でもない、普通に思ったことなのに。
なぜだか嬉しかった。
「改めて俺は坂田銀時。よろしくな、はるか」
差し出された手のひらが、とても輝いてみえた。