二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 自分探し 【銀魂】  −白狐篇− ( No.77 )
日時: 2011/01/30 22:07
名前: 海苔 (ID: R3DK0PgD)
参照: 君のための物語を書いてあげよう

第三十一訓 落ち着くためには深呼吸





サラサラと揺れる黒い髪。真横にのびるのは一本のゴム紐。紺色の着物は、暗闇と同化して溶けてしまいそうだった。

そして奴はゆっくりと振り返る。



白い狐は笑っていた。



正確に言えば、お面の狐が笑っていた。
風が強く吹いて訪れる静寂。


「あれ? 俺は沖田くんを呼んだんだけど。あ、もしかして君は真選組藤月隊隊長の香音はるかちゃんだったりするのかな?」


緊張感の欠片もないような、どこか抜けたしゃべり方。
敵意は無いのか? いや、いつ襲ってくるかわからないしな。


「『沖田くんを呼んだ』ってことは、お前が白狐か?」

「君に会えるなんて、俺ってなんて運がいいんだろう」

「狙いは何だ」

「さっきから言葉遣い悪いぞ。女の子なんだから」


会話が噛みあわない。話し聞こうよ。俺もお前も。
あーあー、シリアスムード潰れてきちゃったじゃんか。


「今は訳あって女だけど、本当は男だ。とにかく質問に答えろ」

「はるかちゃんて電波さん? イタいよー、止めときな」

「答えろ」

「しょーがないなー、もう。そんなに睨むなよ☆」


……こいつ、うざいんだけど。すっごいムカつくんだけど。ねぇ、殴っていい? 殴っていいよね?


「いかにも俺は白狐だ。狙いはもちろん君たち真選組!」


やっと真面目にしゃべりだした。しかし人差し指を人に向けるのは良くないと思う。
一息ついて、こちらに話を振り出した。


「ところではるかちゃん。君は7年前のことを覚えてるかい」


なんで白狐は7年前の火事のことを知ってるんだろう。
有名だから? いや。たぶん本当の狙いは俺だろう。真選組といって誤魔化してはいるが、絶対そうだ。
そして“覚えてる”。そう言った。つまり、こいつは何かを知っている。


「覚えてるに決まってんだろ……」

「じゃあ、これも知ってるかな?」


一区切りずつ話していく白狐が無性に苛立った。




「 実は 」


「 俺は 」


「 もう一人の 」


「 君なんだ 」




白狐は仮面の下で笑うだけだった。