二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 自分探し 【銀魂】 −白狐篇− ( No.78 )
- 日時: 2011/02/05 18:57
- 名前: 海苔 (ID: OfqjeFpF)
- 参照: 君のための物語を書いてあげよう
第三十二訓 カップめん考えた人って天才じゃね
火事があってからはおとなりさんと一緒に暮らしていた。
火事の原因は不明で私はそのことを一生懸命調べた。もしかしたら火の消し忘れかも知れないけど頑張っていたある日のこと。
おとなりさんは私に向かっていった。
『あの火事は事故なんだよ』
悲しい顔をして、静かに告げられたのを今でも覚えている。
「ねぇ、聞いてた? もう一度言ってあげようか」
白狐の声で現実へと引き戻される。はるかには兄弟はいない、そうおとなりさんに言われている。こんな冗談に付き合ってる暇は無い。
「そんな冗談、誰が信じるか……っ!」
「いや本当なんだよねー。これが」
「俺には兄弟がいないはず——」
「だって兄弟じゃないよ」
遮られ意味不明なことを話し出す。反発したいのに声が出ない。兄弟じゃないならなんだ、と。
「なんていうのかな。俺もよくわかんないんだけどさ。
しいて言えば、半々ずつ持っている? んじゃないのかな?」
「な、にを……」
声がかすれている。それより何を半々ずつ持っているというんだ。
「才能に能力。記憶とか?」
記憶。その言葉に反応してしまう。
火事が起こる前。攘夷戦争時代。写真の正体。
もし、白狐が火事が起こる前の記憶を持っていたら。攘夷戦争の記憶や、写真のことも。
そこで小さな疑問ができる。
あれ……? 写真は火事が起きる前に撮られたと思うけど、じゃあ攘夷戦争は?
参加した記憶なんてこれっぽっちも無いのになんで?
坂田さんや桂が嘘をつくわけない。なら誰が……。
そして私は目の前にいる“もう一人の私”に質問してみた。
「攘夷戦争に参加してた?」
「……してた、って言ったらどうする?」
「神の使いでしょ」
その時私は見逃さなかった。
白狐が微かに動揺したことを。わずかだが動き、足が少し下がった。
「まぁ、とりあえず。今日ははるかちゃんとも面識とれたし帰るから」
背中を向けて歩き出そうとしたとき、私は刀を抜いた。
白狐は足を止めた。刃先は奴の首元にある。
「……なんのつもり? 俺、戦うつもりないんだけど」
「お前が無くてもこっちはあるんだよ」
刀を持つ手が震えないよう、必死で自己を保った。