二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 自分探し 【銀魂】  −白狐篇− ( No.79 )
日時: 2011/02/07 20:14
名前: 海苔 (ID: 6afFI3FF)
参照: 君のための物語を書いてあげよう

第三十三訓 物忘れが激しくなったら要注意





ところで、話は少しさかのぼる。



「うぉー。寒かったー」


両手をすり合わせて、はぁーと息をかける裄乃。どうやら見回りから帰ってきたようだ。
隣では翡翠がにこにこと笑っている。


「なら、あとでお茶でも入れてお煎餅でもつまみますか?」

「それいいねー」


のんきに会話をして、はるかの部屋の前を通り過ぎたときだった。


「ん……?」

「どうかしましたか」


後ろを振り返り閉まられた障子を見つめる。障子はピッタリと閉まっていていつもと代わり映えの無い景色があるだけだった。


(今、何かいたような——?)

「裄乃様?」

「気のせい、気のせいっ! さっ、行こう!」


妙な違和感を感じつつも、翡翠の背中を押して廊下を進んだ。






その数分後。

はるかの部屋の障子が開き、誰かが出て行った。その様子を偶然見ていたものがただ一人。


「はるか……?」


猫耳の付いたパーカーを羽織る少女——狼刀だった。



——


キン、と刃物特有の音が路地裏に響いた。

奴の首下にあった刀は一瞬で弾かれ、いつのまにか片方の手には刀が。


「俺、言ったよね。戦うつもり無いんだからさ。帰っていい?」

「じゃあ最後に訊いていいか? なんで沖田を斬った」

「前置きみたいなものだよ。こうしないと物語りは進まない」


刀を鞘に納めて小さく呟く。そして両手を仰々しく広げて語りだした。


「分からないような顔をしているはるかちゃんに教えてあげよう。
 まずは今までの話を簡単にまとめると。俺はもう一人の君。で、攘夷戦争に参加していたさ。
 これはおまけに教えてあげるから、聞きな。一度しか言わないよ。

 俺は生まれてから今日までの記憶をちゃんと持っている。」


謎がまた1つ増えた。

なんで私はこいつの言うことに聞き入ってしまうんだろう。
嘘かもしれないのに、なんで。どうして。



頭の中で答えが交差し始めて訳が分からなくなって、気づけば白狐へと斬りかかっていた。