二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 自分探し 【銀魂】 −白狐篇− ( No.80 )
- 日時: 2011/02/21 17:45
- 名前: 海苔 (ID: gzQIXahG)
- 参照: 君のための物語を書いてあげよう
第三十四訓 更新できたと思っても苦難は続く
「ふっざけんなぁっ!!!」
力任せに思いっきり刀を振るった。白狐はそれをひらりとかわして、俺をイラつかせた。
「何がもう一人の俺だ! 何が記憶を持っているだ! なにが、なにが……!」
総梧が斬られたこと。白狐が言ったこと。藤月隊のみんなには行くことを話してないこと。
いろんなことがぐるぐるとまわっている時、白狐が小さく呟いた。
「剣に迷いがあるね」
なんて言った? そう思った途端、手元にあった刀が一瞬で弾き飛ばされた。そして軽く蹴り飛ばされ背中を打つ。
「っけほ。いっつぁー……!」
一息するまもなく、座り込む私の目の前には刀の先。白狐は私を見下す形となっている。
——あ、やばい。
自分の刀は数メートル先だが取りに行ける距離ではない。動いたらやられるよな。咄嗟に何か無いかと探したとき“それ”は私のすぐそばに落ちていた。
「少しの間寝てな」
相手が大きく刀を引いたときよりも速く、私は“それ”を掴み横へとよけた。バキバキッと壁が壊れる音がしてその間に体勢を立て直した。
「……傘なんかで俺に勝つ気?」
「とりあえずは、どうにかなると思う」
白狐は刀を抜いて木屑を払う。
それ——壊れたビニール傘なんかでどうにかなるわけ無いだろと自分で苦笑する。だけど刀を取りにいけるまででいいんだ。
間合いを計らって相手との距離をとる。斬りかかろうとした刹那、風が吹き白狐が刀を納めた。
は……? 何、怖気づいた? いや違う、じゃあなんだ?
「あっちゃー。時間切れだね。いつから居たんだか、まったくさ。
じゃ、俺帰らざるを得ないわけですから」
ひらひらと手を振って帰ろうとしてるのを慌てて止める。
「まだ話はついてない!」
白狐が私の刀のほうへ行きそれを拾い上げたとき、斬りかかってくるんじゃないかって思って傘を握ったが普通に渡してきた。
「はい。刀」
「……っ」
丁重にそれを渡されて静かに受け取る。
そのまま私の横を通り、すれ違いざまに耳元で言った。
「またな、はるか」
後ろを振り向いたときには白狐はいなかった。