二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 自分探し 【銀魂】  −白狐篇− ( No.97 )
日時: 2011/02/24 21:18
名前: 海苔 (ID: gzQIXahG)
参照: 君のための物語を書いてあげよう

連絡はしなかった。



電話がかかってくる気配は無かったし、かかってきたとしても出るつもりは無かったと思う。

結局ソファーで寝ることになって肘掛の部分を枕にしたけど、なかなか寝付けなかった。神楽ちゃんから借りた黄色のパジャマがやけに眩しく見えて、目を閉じて毛布を頭まで深くかぶった。





第三十六訓 寝る=至福のひと時





「本当に何から何まで、ありがとうございました」


あっという間に朝が来て珍しく早起きをした。
時計はお昼前を指しているが、お昼までもらうなんて図々しすぎるだろう。そして今、玄関でお見送り中である。


「朝ごはんとってもおいしかった。新八将来いい嫁になれるな!」

「僕、男ですけどぉぉぉっ!!!」

「神楽ちゃんもありがとね」

「あいつらが嫌になったらいつでも来ていいアルヨ!」

「坂田さんも——」


お礼を言いかけたとき、坂田さんが私の言葉を遮った。


「ずっと言いたかったんだけど、なんで俺だけ『坂田さん』なの?」

「え? だって年上の人には敬語が礼儀でしょ?」

「いや、そうだけどさ……」


もごもごと口ごもる坂田さんを見つつ、もう一度深く頭を下げた。ドアを開けて、一言。


「ありがとうございました、銀さん」


閉めた中から銀さんの喜びの声が聞こえて思わず笑った。


——

町の中を通り抜けて行き、昨日のところへとむかった。太陽の光が燦々とし昨日のことが嘘のように思った。


それにしても白狐は誰に向かって言っていたんだろう。
『いつから居たんだか』なんて。もしや銀さんのことかと考えてもみた。
攘夷戦争という繋がりがあるのだから可能性はゼロではない。


たどりついたが路地裏と言っても昼間は明るいので何とも言えないが、そこで私はある人をみつけた。


「うそ、土方さん……?」


思わず背筋が凍る。土方さんは壁に背を預けタバコを吸っている。
総梧が伝えたんだろうな。怒られるだろうな。気づかないでほしい……あ、気づかれた。
目線をこちらへ向けて、来いと手で合図。
覚悟を決めて歩き出した。


「……えっと、」


目を瞑り話し出そうとしたが、それよりも先に土方さんがきりだした。


「何があったなんて野暮なこたぁきかねぇよ。ただ無事だったってんならいいんだ」

「へ? あ、はい」


拍子抜けして間抜けな声で返事をしてしまった。
それからタバコの火を消して「帰るぞ」必要最低限の大きさで言われ後を追いかけた。