二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: HUNTER×HUNTER -太陽は輝く- ( No.15 )
日時: 2010/10/28 20:43
名前: 颯 ◆Qvzaeu.IrQ (ID: 9Mczrpye)

 真夜中に働いたせいか、どっと疲れが自分を襲ってきた。
 髪をほどいて、いつも着ている寝間着姿に着替えた。エルシェットはベッドに飛んで寝転ぶ。

「馬鹿クロロォ……疲れたじゃんか……」


 深いため息をつき、エルシェットは深い眠りに落ちた。

     *

『エルシェット。貴女は、この蜘蛛に復讐を考えているんでしょ?』

 ある日唐突に聞かれた言葉。返す言葉が出てこなかった。
 ただため息をついて、相手を見つめた。

『知ってるんじゃん。しってるなら……なんで殺らないの? 今すぐにでもできるじゃん、パクノダ』

 相手、パクノダは深いため息をついて、エルシェットを見つめた。そしてエルシェットの頭の上に手を置いて、優しくその頭をなでた。
 一瞬状況が理解できなくて、エルシェットは硬直する。


『みんな、貴女の笑顔が大好きなの。確かに……貴女を殺そうと考えれば、いつだって殺せるわ。だけど、皆がそれを好まない。別にみんな、貴女が大好きってわけでもないんだけど』

 パクノダは苦笑する。エルシェットは唇を尖らせた。

『じゃあなんで殺さないの』
『……言ったでしょう。貴女の笑顔が、みんな大好きなの。そんなに能力も高くない。技も低くて、隙だらけ。強くないし、私達の事を好いていない。だけどね。みんな貴女の笑顔を必要としてるのよ』

 あの時のパクノダの表情は、ただ、凛々しかった。

     *

 窓から朝日が差し込んでいる。外の天気は明るく、空は青く綺麗な物だ。
 町並みはいつもと変わらないが、天気によって皆の元気も変わる。こういう晴れの日は、掃除や洗濯物ができるので、とても元気で明るい物だ。
 
 眩しい朝日でエルシェットは目を覚ました。先程まで見ていたのは夢か、と呟いた。
 ぼさぼさの金色の髪を見て、外の景色を見る。もう町の皆は元気よく働いていた。
 エルシェットは伸びをすると、ベッドから下りる。そして椅子の上に座り、テレビをつけた。早朝のニュースがやっている。
 刹那、画面がパッと変わった。


「臨時ニュースをお知らせします。昨夜未明ブレイベルグ博物館にて、展示前の『青いビロード』が盗難に遭ったとの情報が入りました——」

 きっと、クロロに頼まれてエルシェットが盗んできたあれであろう。
がしかし、そんなに臨時なのかと思いながら、エルシェットは買ってあったオレンジジュースを飲もうと冷蔵庫を開ける。ジュースを出し、ストローを引っこ抜いて、思いっきり指す。それをのみながらもう一度テレビの方を見た。


「——展示前の宣伝効果を大きくする為に、展示物の具体的な様相は公表されておらず、博物館の館長も同時に行方不明となっております。警察の捜査は難航している様子ですが、現在の捜査状況を知らせる旨などはなく、詳細は分かっておりません——」

 エルシェットはジュースのパックを机の上に置くと、深くため息をつく。
立ち上がるとクローゼットが置いてある場所に近寄る。そして、そこに貼られている写真を見つめて、ポソッと呟いた。

「……お兄ちゃん……」

 そこに写っているのは、幼い自分と兄。
 ショートヘアの自分は幼くて、その隣にいる金髪の兄はかなりたくましく見えた。


「……生きてる、よね」

 自分を励ますかのように呟くと、急になった電話の相手を想像し、思いっきり電話を睨みつけた。
フッと目を閉じる。長い睫毛が重なる。そして、静かに目を開けた。深く呼吸をすると、電話に手をかける。
 そして受話器を持ち上げた。

「……もしもし?」
『エルシェットか? 俺だ。今日の16時ごろ……昨夜お前が侵入したブレイベルク博物館の近くに来てくれ。誰にも姿を見られないように。……来れるか?』

 クロロだ。エルシェットの頬がひきつった。
 行けないと言っても無理矢理にでも連れて行こうとするくせに、なにが来れるか、だ。
 と、エルシェットは思いながらオレンジジュースを取って再び飲んでいた。それを一旦口から離すと、返事をする。


「行けます。行けますよ、えぇ。っていうか行けないって言っても無理矢理連れてくでしょ……?」
『ま、そうなんだがな。では……待っている』

 プツリ、と、電話が切れる。
 エルシェットは静かに受話器を置いて、ジュースを飲み干した。それをゴミ箱に捨てると、頭をかく。


「……疲れるなぁ……」

 そう呟くと、ベッドの毛布を整えて、着替えを始める。
髪をガシガシと梳ると、なんとなくの気分転換で変装の為に買っておいた赤いロング髪のウィッグをかぶった。念の為に金色の髪は一つにまとめて隠す。

「……町でブラブラしよ〜うっと」


 呟くと、エルシェットは部屋を出た。
 ——その後また電話が鳴り響いたが、それに気づく者はもはやいなかった。
 
     *

こんばんは、颯ですノノ
今回はパクさんとの会話をちょっとだけ夢と言う事で回想させてみました!!
んじゃあなんでクロロとかの心配してんだよ。

……そう思ってるそこのあなた!!
ま、いずれわかります☆

そんでは、お風呂入ってきますノノ
もう片方の方は後に更新します〜^^