二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: HUNTER×HUNTER -太陽は輝く- ( No.16 )
- 日時: 2010/11/07 21:35
- 名前: 颯 ◆Qvzaeu.IrQ (ID: hSqi2epP)
ブラブラと町を歩いていたエルシェットは、時間になるまでいろんなことをした。
そうして時間になると、ブレイベルク博物館に近づく。そして、あまりにも目立たない所にいたクロロを見つけて、『絶』で気配を消しながら、背後に近付く。
思いっきり頭を叩いた。
「……エルシェット。その髪は一体何だ?」
痛い頭よりもエルシェットの髪の方が気になるらしく、クロロは頭をさすりながら聞いてきた。
エルシェットはどす黒く微笑み、もう一発殴りこみを入れようと拳を作り力を込める。だが、急にクロロが真面目な顔になり、沈み行く夕陽を見つめながら言った。
「蝶を捕まえるのに、協力してくれ」
そう言うクロロの横顔は、どこまでも男らしかった。
*
エルシェットは『絶』で気配を消しながら、物陰に隠れている。
視線の先には、クロロがお世話になった女性がいる。ダイヤを横取りした女性である。クロロが送りつけたらしいあの『青いビロード』を、元の場所に丁寧に返している。
「で……私はブレーカーをおろせばいい訳……」
「そう言う事だ。じゃあ、任せたぞ」
そう言ってクロロは去って行った。
あの女性を捕まえるために、何をするつもりなのかとエルシェットは不安になった。
「……あ、そろそろだ」
時間を見て、ブレーカーに手をかける。
「3、2、1……」
カウントダウンを呟いた後、思いっきりブレーカーを下ろした。辺りが真っ暗になる。
クロロには、かなり時間が経った後にブレーカーを再び上げてほしいと言われている。女性が『円』を張っている気配がしたので、エルシェットは少しその場を離れた。
*
10分ほど経っただろうか。
エルシェットはこっそりとブレーカーの元に戻ると、一気にブレーカーを押し上げた。女性の姿がはっきりと見えた。
誰もが見惚れそうなその綺麗な顔。細すぎると言った方が良さそうな体。長い黒髪は丁寧に手入れがされていると思えるほどつなやかで輝いていた。女性に当てはまる言葉があるとすれば『美女』。それしかないであろう。
「あ、クロロ……」
女性は光に弱いのか、かなりふらふらしている。
そんな女性をクロロは襲う。口元に薬品をしみ込ませた布を当てる。
そして、その女性は気を失った。
エルシェットは物陰から出て、クロロを見つめる。
「……そんな顔で見るな、エルシェット。誰もとって食おうとなんかしてない」
「分かってる……。でも……その人、どこかで見た覚えが……」
エルシェットはじっと眠る美女を見つめる。
前に出会った時ではない。それ以前に、出会ったような気がする。
——何でこんな所にいるの?——
——一緒に遊ぼうよ?——
——ダメなの。無理なの——
——じゃあ……お話ぐらいなら、いいよね——
「……? エルシェット?」
「あ、え……な、なんでもないよ……。帰ろう」
エルシェットは微笑むと、美女を抱えたクロロと帰って行った。