二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: HUNTER×HUNTER -太陽は輝く- ( No.20 )
日時: 2010/11/10 19:04
名前: 颯 ◆Qvzaeu.IrQ (ID: pibIqQxN)

    ■…三話 入団×笑み×プロハンター…□


 蜘蛛のアジトへ戻り、エルシェットは皆の所に行った。
 クロロはあの美女を寝かせると言い、パクノダを連れて行ってしまった。

「マチィ〜……クロロに使われたのよぉ〜……」
「お疲れ様、エルシェ。そのウィッグ外しなさいよ。エルシェじゃないみたいよ」
「あ、ゴメ〜ン」


 エルシェットはちろっと舌を出すと、赤髪のウィッグを外してそこらへんに捨てた。マチは苦笑して、エルシェットの頭を優しくなでた。
 エルシェットもニッコリと笑う。

「お疲れ様、エルシェ。小さいのによく頑張るわね」
「ち、小さいって言わないで! あんまり褒め言葉になってない……って……あ、ローブが破れてる」


 エルシェットは自分の愛着のローブの一部分が破れている事に気がついた。マチはそれをじっと見つめると片手を出す。エルシェットはそれを見て、ニッコリと微笑んだ。
 そしてローブを脱ぐと、それをマチに渡す。マチはそれを受け取ると、針と糸を取り出して裁縫を始めた。童顔の少女、シズクが落ちているごみ(エルシェットがポイ捨てした赤髪ウィッグ)を見て、掃除機を具現化する。


「……なぁんか、見慣れた光景……」

 エルシェットはクスリと笑う。
 そんな時。扉が開き、ゆっくりとクロロとパクノダ、それにあの美女が入ってくる。エルシェットはシズクの具現化した掃除機に吸われようとしていたウィッグを拾い、軽く払い、慌ててかぶった。なんとなくである。


「団長、そのコ誰?」

 マチがエルシェットのローブを縫いながら、ふと顔をあげて聞いた。
 エルシェットはローブをちらりと見ると、マチに微笑みながら言った。

「ね、マチ。私に服作ってよ」
「……ま、いいけど……」


 マチは素っ気なく言う。エルシェットは「やった」と小さく声を上げると、再び美女に視線を戻した。
 クロロの方を見ると、クロロはエルシェットに向かって笑っていた。まだその髪のままなのか、といった表情である。


「ねークロロ、その人誰?」
「ああ、紹介する。セリト=フリティラリア。ナンバーは0、今日からメンバーになる」
「いや、なりません」

 クロロが言ったそばから、美女、セリトは断固拒否する。エルシェットは苦笑した。そして、その場にいた全員に同じ感情が芽生える。


(え、どっち?)

「メンバーを紹介する。あっちの青い髪の女が……」

 クロロがメンバーを紹介しはじめた。
 だが、セリトは疲れたような表情を見せながら「分かります」と言う。

「裁縫をしてるのがマチ、刀の手入れをしてるのがノブナガ=ハザマ、掃除機を持ってるのがシズク、PCをいじってるのがシャルナーク、手錠を眺めてるのがフェイタンでしょ。そこの赤髪の子は……分かりませんが……。もう帰りたいんですが……」


 その言葉に、全員がセリトに対する警戒の色を強めた。
 パクノダがそれをおさえる。

「皆、落ち着いてちょうだい。彼女はメンバーになるのよ」


 エルシェットは眠くなってきた。ここ最近クロロに呼ばれっぱなしで、しっかりと寝た覚えがあまりないのだ。
 
(……眠いなぁ……体もだるいし……)
「……エルシェット。寝てもいいわよ」


 マチがポソッと言う。エルシェットはマチの方をゆっくりと見た。マチはクロロの方を指さしている。
 クロロはエルシェットの方を見ながら、寝てもいいぞ、という顔つきでいる。自分がエルシェットを使っているということぐらいはしっかり把握しているのだろう。

「あーりがと……」


 エルシェットは深い眠りに落ちたのだった。

     *

 目を覚ますと、既にセリトはいなかった。
 それに、クロロも、他のメンバーもいない。マチとシズクがいるだけである。

「あれ……みんなは……? それに……あのセリトって人は……?」
「あぁ、おはよう、エルシェ。貴女半日寝てたのよ。あの人には逃げられた。それで、もう解散。私はあなたが目が覚めるまでここにいたの。シズクも一緒にいてくれた」
「ご、ごめん……」


 エルシェットはむっくりと身を起こすと、ボーっとする頭をおさえた。
 そしてウィッグを取ると、今度こそ床にポイ捨てした。シズクがそれを見て掃除機を具現化する。そして掃除をし始めた。
 エルシェットは苦笑しながら謝った。そんな時、ひらりと目の前に1つの服が現れた。


「ハイ。エルシェが寝てたからできた。あげる」

 目の前に現れたのは、動きやすそうな服。ハンター試験を受けるために作ってくれたとしか言いようがない。
 だけど、かなり地味というか、シンプルだ。それでもエルシェットはニッコリと微笑んだ。

「ありがと」


 太陽の様な、笑みで。