二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ポケモン二次創作 【虹色の天空】 ( No.106 )
- 日時: 2010/12/06 17:50
- 名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)
第二十二章 〜仕方が無い事〜
タマムシシティジム、会議室。
エリカ「エンジュちゃん・・・」
エンジュ「お兄ちゃん・・・どうして?」
エリカ「・・・考え込んでて居ても、始まりません。まずは、警察に任せましょう。」
エンジュ「でも!このあいだにも、お兄ちゃんはあぶない目に・・・」
エリカ「彼なら、大丈夫です。きっと。」
エンジュ「・・・」
エリカ「私は、デパートの被害状況の確認に行って来ます。貴女は、ここで待っていて下さいな。」
エンジュ「・・・はい。」
パタン。
エンジュ「・・・そう言えば、どうしてあんなにお兄ちゃんと、エリカさんは仲がいいのかな?」
考えてみれば、明らかにおかしい。自分と同じ、初対面の筈なのになぜ。
会話をする時の彼の声はいつもより、高い。表情も、優しくなるし・・・
エンジュ「まさか・・・あのふたり・・・」
とんでもない方向に勘違いをしているようだ・・・
会議室外、エリカは誰かに電話をかけているようだ。
エリカ「もしもし、大変な事になりました。すぐに全ジムリーダーを収集して下さい。」
???『何かあったのか?』
エリカ「・・・ついに、「彼」のことを明かす時が来たようです。」
???『・・・そう。無理はあったとは思っていた。よく、今までばれなかったと思う。』
エリカ「そうですね。あと・・・協会の方々にも、説明した方がいいでしょうか?」
???『・・・この事態では仕方ないだろう。我々には収集しきれないし・・・』
エリカ「ええ。私から話します。カントージムリーダーの総頭として。」
???『では、集合場所は、シルフカンパニーでいいかしら?タマムシからも近い事だし。』
エリカ「ええ。よろしくお願いします。ナツメさん。」
協会支部ヤマブキシティ、シルフカンパニー。
かつて、ロケット団の拠点となっていたビル。現在は、ポケモン協会の第一支部ビルとなっている。
社員「局長!全ジムリーダー、四天王の方々、協会の皆様、揃いました。」
ナツメ「ご苦労。後はエリカだけかしら?」
局長、と呼ばれた女性の名はナツメ。ヤマブキジムリーダーであり、シルフカンパニー局長の座にも就いている。
ナツメ「・・・。やはり、早々に明かしておくべきだったのかもしれない。」
いくら、カントーの平和を護る為だったとはいえ。彼にも、相当の負担が掛かっていたのに。
何故、まだ子どもな「彼」に全てを預けてしまったのか。全てを押し付けてしまったのか。
社員「エリカ様、御到着しました!あの・・・一人、連れの少女が・・・」
ナツメ「構わない、通すように伝えておけ。」
社員「はい!」
シルフカンパニー
エリカ「エンジュちゃん、大丈夫ですか?」
エンジュ「エリカさん・・・ここはどこなんですか?アタシ・・・」
エリカ「貴女は、私の後を付いて来て下されば良いのです。案ずる事はありません。」
エンジュ「・・・はい。」
この建物は、一体何なのか。周りも、エリカ以外は知らない大人ばかり。必然的に気も滅入る。
エリカは、一つの会議室の前に立った。入る前に、エンジュの顔を見つめる。
エリカ「・・・エンジュちゃん、これからの事を全て受け入れる事は、容易ではないと分かっています。」
エンジュ「・・・?」
エリカ「しかし、安心して下さい。私は貴女の味方です。それだけは頭に入れて置いてくださいね。」
エンジュ「・・・エリカさん?」
エリカ「入りますわよ。」
エンジュ「えっ!?ちょっとまっ・・・」
その頃。
何も無い、寂しい室内にキオンは眠っていた。その傍らには、彼を攫った男。
キオン「う・・・」
サカキ「お、目覚めたな。」
キオン「はやてっ!」
とっさに、腰に付いている筈のモンスターボールを手に取ろうと・・・したのだが。
キオン「無い!?」
サカキ「当たり前だろう。お前にポケモンを持たせていたら、必ず脱出するからな。」
キオン「貴様っ・・・」
サカキ「おいおい、そんな言葉遣いしちゃ駄目だろう。なんたって、お前は・・・」
キオン「黙れッ!!貴様には関係ないだろうが。末代まで呪ってやるんだからな・・・」
サカキ「おお、怖い怖い。」
キオン「っ・・・」
サカキ「今は、休んでおくんだな。後で、お前の力を借りるのだから・・・」
キオン「誰が協力するものか!!はやてと、りゅうがと、ダクトを返せーっ!!アッパーカットォォ!!」
サカキ「そうはいくか!二ドクイン!砂嵐!」
室内に巻き上がった、砂に身を取られる。また、意識が薄れてしまう。
キオン「うっあ・・・!!!」
サカキ「お前は、「その力」がある限り、何があっても逃げられない。その事を忘れたか?」
キオン「くっ・・・」
サカキ「・・・この力があれば、アイツを見つけ出せる・・・!」
キオン「ぼくはっ・・きさまなんかの・・・」
サカキ「何で、そう硬いのだろうな。いや、意思が強いと、言った方がいいのかもしれないな。やはり、親父譲りだ。」
キオン「・・・皆・・・」
悪意の旋律が紡がれる。貪欲な、悪意が。本来の想いは何処なのであろうか。
護る事。それは、誰にでも出来ることではない。出来るのは・・・
己の全てをなげうつ事が出来る人。それほどの覚悟がある人。
サカキ「くっくっく・・・待っていろ、すぐにでも見つけ出してやる。ギンガ。」
キオン「・・・」
次回へ続く