二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

ポケモン二次創作  【虹色の天空】 ( No.133 )
日時: 2010/12/23 23:15
名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)

第三十章 〜MIND ESCAPE!〜

ロケット団、アジト。
前回同様、リオンは無機質な何も無い部屋に一人きりでいた。
相変わらず、本当に何も無い。変化事態も何も無かった。
ただ、前回と全く持って違う点が、一つだけ。
彼女の瞳に、美しい金色の光が宿っている。表情もしっかりとしていた。
あ!今ニヤって!ニヤって笑ってきやがった、こいつ!
何故、こうも変化が起こっているのかというと、話は少し前に遡る。
以下、回想シーン。

(時間は、攫われて一週間位経っていると、考えて下さいませ。)
全く同じ空間に、やはり彼女が居た。しかし、瞳には光が無い。
サカキの思惑——リオンを人間として、生きる気を喪失させ、己の手足として働かせる事。
もう少しで、彼の構想は実現するようだ。
リオン「・・・」
——人だけでなく、生きとし生けるものは、必要最低限動かなければ、体が鈍ってしまい生きる事が出来なくなる。
リオン「・・・」
ほぼ、無意識の内に体を動かす為、立ち上がった。

この瞬間。彼女の運命を絶望の淵から、一筋の光が見出す。

リオン「・・・・・・・?」
鳴っている。不思議な、美しい、あの和音。
三年前、ジョウト地方全体を揺るがす最悪の事態が起こった時、伝説と呼ばれしポケモンと、意思疎通を行った際使用した物。
それは、透明な鈴と、海鳴りの鈴。
似て非なる、二つの異音。その二つの鈴が奏でる和音だ。
リオン「!?」
本来、鈴の音は人間には聞こえない。例え、【伝エル者】である、リオンでさえ。
最後に聞いたのは、伝説の二匹が去る時のみ。それも、たった一音だけだった・・・
リオン「ぁぁああっ・・・!?」
あの時は彼女を初め、聞いたもの全ての心を癒した音。しかし今、心が空っぽなリオンにとっては、苦痛だった。
リオン「っぁぁ!!」
空っぽだった心に、様々な想いが進入してくる。異音が、和音がスイッチのようだ。
痛い、痛い。頭が、割れるっ!
リオン「ぁあああっ!!」

その頃、アジト内研究所。
研究員1「!?見てください!」
研究員2「な、何なんだこれは!数値が・・・振り切っている!?」
研究員3「だ、大至急大元帥にご報告します!」
研究員2「頼んだぞ!我々は、数値を平常値に戻すよう、試みる!」
研究員1「無理です!戻そうとすればする程、悪化します!」
サカキ「おい、どう言う事だ。」
研究員3「申し訳ありません!二十四時間、片時も目を外さなかったのですが、突如・・・」
サカキ「馬鹿者!言い訳は聞かん。すぐに、部屋へ向かえ!」
研究員一同「はっ!」

所戻ってリオンの部屋。
リオンは、今だ苦しんでいた。心身ともに限界を迎えている。
——ところが。
リオン「ぁあ・・・え?」
急に、痛みが消え失せた。本当に唐突に。
リオン「あ・・・ど、どういう・・・事?」
己のバッグに入っているであろう、透明な鈴と海鳴りの鈴を見つめる。
サカキは、リオンがいかに強いトレーナーであろうが、子どもと侮っていた。
証拠に、彼女の手持ちは取り上げたが持ち物までは奪わなかった。この事が、後に最大の見落としになる事も知らずに。
リオン「私は・・・?」
全てを理解する。
サカキが、空っぽにしようとしていた自分の心を、もう一度満たしてくれたのは。
透明な鈴、海鳴りの鈴。この二つの異音である、和音だ。
リオン「私は、何をしていたのかしらね。ふふ・・・」
先程までの、不安定な表情は何処行った。すっかり通常運転の笑みである。
リオン「ありがとう、ホウオウ、ルギア。」
回想シーン終了

リオン「さてと、心は取り戻した。で、どうするよ。」
相手が居ないので、自問自答する。
リオン「脱出・・・しようにも、皆が居なけりゃ脱出したって意味無いじゃない。」
畜生、サカキの奴。ポケモンを人質に取りやがって。
作者「違う。違うよリオンさん。サカキは、貴女が脱出できないようにポケモンを奪ったんだって。」
リオン「うわ!作者!?何でここに居るのよ!」
作者「私は、ゲームマスターのような存在!いざとなれば、己の好きなように話を進める事が出来るのさ!」
リオン「・・・」
作者「会話文無いのって私の小説では、痛いんです。」
リオン「じゃあさ、帰る時、私を連れてってよ。」
作者「それは無理。」
リオン「はあ?何でよ!アンタ、ここの脱出経路分かってるんでしょ?ヒロインが頼んでいるのに?」
作者「私は、貴女を元通りにしに来たのです。心を、元通りに。」
リオン「でも、」
作者「はい。私が来る前に鈴が直したようですね。では、私は今後のヒントをお送りしましょう。」
リオン「ってココ、カメラあるのよ!?アンタ、侵入ばれてる!どうするの!」
作者「それは問題ありません。何たって、私はこの小説の作者。物語自体の時間を止める事だって出来ます♪」
リオン「いくらなんでも、それは無理矢理なんじゃ・・・」
作者「ああ、時間が来ちゃう。いくら作者だからって、時間止めるのは制限があるんですよ!」
リオン「え?ええっ!?」
作者「では、行きますよ!」
リオン「ちょ、まって・・・」

『生きとし生けるもの。命に違いなんて無い。全て同じ重さ。伝説でも、沢山居る人だろうと。』
『力がいらないなんて、贅沢者め。作者なんて、妄想以外脳ねぇんだぞ!』

次に気がついた時、作者は居なかった・・・(当たり前だ)
リオン「・・・プッ。」
最後に関しては、ただの八つ当たりだろうが。それでも。
リオン「今度ばかりは、作者・・・さんにも感謝しないと。」


次回へ続く(これで!?)

MIND ESCAPE…心の脱出(そのまんまじゃねーか。)