二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ポケモン二次創作 【虹色の天空】アンケート中です。 ( No.151 )
- 日時: 2010/12/31 20:47
- 名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)
第三十三章 〜銀の光〜
今回は、今まで全く登場してこなかった彼の話です。
ジョウト地方、渦巻き列島。
ここに、一人の男が現れた。彼の名は、ワタル。前々回リーグチャンピオンだ。
そして、リオン(キオン)の正体を知っていて、力を貸した人物でもある。
何故、彼が渦巻き列島に現れたのか。
それは、ここを住処とするあるポケモンに会うためだった。
ワタル「カイリュー、何処にいるか分かるか?」
カイリュー「リュウ〜・・・」
ワタル「リオンならば、一瞬で理解できるのだろうな・・・」
それでも、表情で大体分かる。どうやら、分からなかったらしい。
ワタル「手がかりゼロか・・・」
それでも、進まなければならない理由が、彼にはあった。
仕方ないので、片っ端から探す事にしたらしい。奥に進んでいった。
数時間後。
ワタル「ふう・・・やっと、最深部まで来れた・・・」
ボロボロで、疲労困憊のご様子。(原因は野生ポケモン共)
ワタル「ギンガ君も居ないから、どうしようかと思ったけど・・・」
ま、なんとかなるだろ!とんでもなく、切り替えの早さである。
カイリュウ「・・・」
ワタル「カイリュー?どうした?・・!もしかして、近いのか!?」
カイリュー「リュー!」
ワタル「そうか!ありがとう、戻ってくれ。」
ボールにカイリューを戻す。
ワタル「果たして、俺に反応して頂けるのか・・・やってみるしかない!」
最深部の更に奥、伝説と呼ばれしポケモンが潜んでいる滝へ。
全力疾走で駆ける。果たせられるか分からない、最重要の任務を果たすべく。
巨大な滝の前に立ち、思いっきり叫ぶ。用があるのは、ここの主。
ワタル「ルギア!俺・・・いえ、この私、ワタルとお話しして頂けませんか!?」
反応は無い。
ワタル「やはり——俺では力不足なのか?」
彼女達ならば、訪れればあちらから現れるだろうに。
ワタル「お願いします!貴方にどうしても、お伝えしたい事があるのです!」
いくら叫ぼうと、現れる気配は無い。
自分は、選ばれしものではない——この時程、悔やんだ事は無い。
ワタル「・・・この情報が、【伝エル者】達の情報でもですか?」
辺りの雑音が全て消える。巨大な滝の音も、水音も。己の呼吸音さえ消えた。
ワタル「・・・?」
ケースに入れた、モンスターボール達が揺れる。何かが起こっている。
すぐに確信に変わった。追い討ちをかけるように更に、話を続ける。
ワタル「現在、彼女らの置かれている現状をお伝えする為に、私は参りました!」
音の無い、静寂に包まれていた己の体が、急に持ち上がる感触を感じた。
ワタル「!?」
あまりに強い閃光。眩しくて、目を瞑る。
次に目を開けた時。滝も、水も、地も無い、無の空間に居た。
???「力の無いものが、私を呼び出したのはこれが初めてですね。」
神々しい。これだけでは足りない。それ程の美しさを放つ、ポケモン。
せんすいポケモン ルギア。別名、海の神。
神話にて登場する、ポセイドンよりも強大で壮大で、美しい。
ルギアが目の前に、現れたのだ。
ルギア「私を呼び出すなんて・・・一般人にしてはやりますね。」
ワタル「お休みになっている最中を失礼しました。しかし、事は一刻を争う事態なのです。」
ルギア「そうですか。彼女達に関わる事だと聞きましたが・・・」
ワタル「はい、金の少女が悪に攫われたのです。」
ルギア「ああ。我々の力を手に入れようとしていた輩ですか。」
ワタル「そうです。一度消失したのにまた、復活してしまって・・・」
ルギア「どうしてですか?彼女らは、我々が逃げ切る事を何より願い、己らの労力を限界まで使い、消し去った筈でしょう?それが何故ですか?」
ワタル「確かに、一度は潰したのですが。ゴキブリよりも生命力が強くて・・・」
ルギア「言い訳は聞きません。子どもに頼った事を恥ずかしいとは思わなかったのですか!?」
ワタル「それは・・・」
ルギア「全く。再び旅をさせるのも、無理矢理性別まで偽らs」
ワタル「私の指示でありません。彼女自身の意思です。正体がばれぬように性別を偽るのも、髪を短く切ったのも・・・」
ルギア「分かってますよ。あの子は本当に強情ですから。」
ワタル「では、用件をお伝えします。」
ルギア「ええ。ホウオウには、私から伝えましょう。それに、貴方もそろそろ限界でしょうし。」
ワタル「!?」
ルギア「力を持たぬものが、こんなに長い時間私と話したのです。これ以上は無理でしょう?」
ワタル「・・・ええ。それでは、お伝えします。」
全てを伝えきった直後、意識が途切れた。伝えるといっても、言葉で伝えたのではない。
頭の中の記憶と記録を、直接送り込んだのだ。並の人間では出来ぬ行為。
それを可能にしたのは、伝説の力。それに、大人としての責任感だろう。
子どもに頼ってばかりだったのだから、せめてもの罪滅ぼしだ。
気がついたら、ルギアの背に乗り渦巻き列島上空にいた事には、流石に驚いたが。
ルギア「おや、気がつきましたか。」
ワタル「え、ええ。あの、この状況は・・・?」
ルギア「貴方から頂いた記録が、思ったよりも深刻なので。今から、ホウオウの元に向かいます!」
ワタル「左様にございますか・・・って、ええ!?」
ルギア「事は、一刻を争うのでしょう?」
ワタル「・・・はい!」
ルギア「それでは向かいます。しっかりとつかまっていて下さいね!」
銀の光が、三年ぶりにジョウトの天空を翔る。あの時と違うのは、背に跨る人物だ。
音速に近い速度で、エンジュシティに向かう。
次回へ続く